「ドニ・ラヴァンのお仕事ムービー。メルドも出るよ!」ホーリー・モーターズ わたPさんの映画レビュー(感想・評価)
ドニ・ラヴァンのお仕事ムービー。メルドも出るよ!
ドニ・ラヴァンがオムニバス映画「tokyo!」のカラックス作品で演じたメルドを始め、様々なアポと呼ばれる他者になる仕事?を演じていくというストーリーなのだけど、彼が成るメルド以外の人物もどうやら他作品から続く文脈があるようで、ドニ・ラヴァン、レオス・カラックス、ひいては映画全般についての相当な知識が無いと言わんとすることを完璧に理解することは難しいだろうと思う。メルドでのフレンチジョークですらも置いてけぼりの感があった僕としては、かなり厳しかった。
彼が劇中で演じていく物語も現実社会に対する風刺の入ったものが多いようだし、映画製作側と少なくとも同じフィールドに立たないと評価の仕様がないような気もしてくるので、この映画単体としてはなかなかこれくらいの評価しかし難い。
ストーリーは現実と演技の境というものがわからなくなっており、映画とは、演技とは、自分とは、といったような観念的なテーマを提示してくる。その辺り「8 1/2」のようであり「バードマン」のようであり、巨匠になるとそういう自身の苦悩とかを作品に昇華したくなるものなのだろうか。
ラストの解釈も、他者やシステムに行為を代替させてそれを体感するだけになっている現代への嘆きと取れたけれど、果たしてそれが合っているのか....
カラックス作品や映画的素養がもっと増してから見るとこの映画の評価ももっと高まるように感じた。
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