ホーリー・モーターズ
劇場公開日:2013年4月6日
解説
フランスの鬼才レオス・カラックスが、オムニバス「TOKYO!」(2008)以来4年ぶり、長編では「ポーラX」(1999)以来13年ぶりに手がけた監督作。生きることの美しさへの渇望に突き動かされる主人公オスカーが、富豪の銀行家、殺人者、物乞いの女、怪物など、年齢も立場も違う11人の人格を演じながら、白いリムジンでパリを移動し、依頼主からの指示を遂行していく姿を実験的な映像とともに描き出していく。主演はカラックス監督によるアレックス3部作(「ボーイ・ミーツ・ガール」「汚れた血」「ポンヌフの恋人」)のドニ・ラバン。
2012年製作/115分/フランス・ドイツ合作
原題:Holy Motors
配給:ユーロスペース
スタッフ・キャスト
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2022年10月8日
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鑑賞方法:映画館
幻想的で、実験的、そしてところどころ理解に苦しむ映画。映像が美しい。
2022年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
監督自身から幕を開ける物語。
長い一日をドニラヴァンが演じ分けるんですが,これがものすごい幅で見応えがあります。
物語を簡潔に纏めると、主人公オスカーを通して“社会には決められた役割があり、皆はそれらをずっと演じ続け生きている”という風刺的な作品に見えます。
でもこれは映画を描いた映画であり、また自身を描いた映画でもあるのでしょう。
インターミッションを含め11ですか、その数の作品にカラックスがもう一度会いに行ってるように見えました。
自身の「TOKYO」「ポンヌフ」はもちろん、さまざまな作品へのオマージュが見え隠れしていましたしね。日本人的には「ゴジラ」はツボでした。
迎えたラストは意見が別れそうですが、私は何か好きでした。
2022年6月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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勝手な解釈で申し訳ないが、ひと言で表せば“高度なイメクラ”。俳優が様々な依頼主から仕事を貰ってロールプレイングする。しかし、一時の満足を与える雇われ俳優ではなく、夢を与え、幸福感を与え、恐怖を与え、悲しみを与え、世の不条理を与える・・・時には殺し屋役の俳優に本当に殺されてしまったりする。
冒頭のカラックス監督本人の舞台から始まるものの、観客は皆死んでいるかのように動かない。赤ん坊や大きな犬が通路を歩いていても知らん顔。作られた演劇が全て無感動になっている世の中で、個人的に接することで人に感動を与えるような。そんなリムジン俳優の1日の物語なのだと解釈しました。
物乞いする老婆、モーションキャプチャー・アクター、地下の怪人~「美女と野獣」のごとき恐怖シーン(ゴジラのテーマ曲が斬新)、初パーティ帰りの少女アンジェリカの父親、アコーディオン弾き、中国の殺し屋、銀行家殺害犯、姪レア(=エリーズ)が悲しむ死に際の老人、かつての恋人ジーンとの再会、そして「自宅」。数えたら11に満たない・・・(汗)。
それぞれのエピソードがシュールな映像や展開を含んでいて、現実とはかけ離れているのも特徴ですが、最も強烈だったのが演技をしていない廃デパートでの邂逅シーン。いきなりのミュージカル風ラブロマンスでもあったが、元カノジーンもまた俳優業だったのだろう。それが、恋人との飛び降り自殺だったとは・・・唖然。現実が辛い・・・
「自宅」で会う家族がチンパンジーだという意外性もシュールだけど、すでに人間の世界に失望しているオスカーだったのだろう。そしてタイトルの「ホーリーモーターズ」も印象に残ります。運転手セリーヌにしても雇われの身であり、彼女自身も俳優を操る仮面の女。さらにリムジン自身も仕事が終わると、使い捨てにされると愚痴をこぼす。
映画のような人生というより、人を豊かにするのも喜怒哀楽を与えるのも映画そのもの。無機質な世に一石を投じた作品なのかもしれませんね。それにしても指を食いちぎられた写真家助手のジェイミーが気になるところ。
他人の死によって自分の生を認識し継続されていることを知る。
人生は映画のように。映画は人生のように。