劇場公開日 2013年4月6日

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「野心作です。」ホーリー・モーターズ bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5野心作です。

2013年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

川崎市アートセンターにて、当日料金1700円を支払って鑑賞。
白いリムジンの後部座席に乗って、ドニ・ラヴァンがパリ市内を走り回り、色々な扮装をした挙句、これまた色々な人の人生に入り込む、もしくは、その人になり済ます、というストーリーです。これは仕事なのか任務なのかが、判然としません。映画の中では単純に「アポ」、と云っていました。そんな荒唐無稽な映画、どこが面白いのだ、と問われたなら、私は答えに窮してしまいます。確かに、くだらない場面も多々、あるからです。そして、題名が「ホーリー・モーターズ」。英語です。どうして、「聖なる乗り物」や「聖なる車」のように日本語の題名にしないのか気になっていましたが、その謎は、結末部分で明らかになります。ドニ・ラヴァンだけがこのような特異な体験をしているのかと思っていたら、実は「ホーリー・モーターズ」という組織が複数の人間を雇っていたことが明らかになります。(このことはプログラムにも明記されていたので、ネタばれにはならないでしょう)全体を観終わって、感じたことは、荒唐無稽な映画ではあったが、1700円、支払うだけの価値はある映画だったな、というものでした。国籍は違いますが、鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」の気まぐれなところやティム・バートンの「エド・ウッド」や「マーズ・アタック」に見られる破天荒なところを混ぜ合わせた、そんな感じの映画です。所謂、評論家筋に受ける映画です。予定調和の映画に飽き飽きした、そんなあなたにお勧めの映画です。
それにしてもドニ・ラヴァンに顔に刻まれた皺の深さには驚きました。「ポンヌフの恋人」の頃の少年らしさはどこにもありませんでした。まるで80歳の老人のようでした。蛇足ですが、クレール・ドニ監督の「美しき仕事」も日本で公開してほしいですね。ドニ・ラヴァンはアフリカ駐在の外人部隊の隊長を演じています。

bashiba