「創造的人生は10年限り・・・なのか?」風立ちぬ tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)
創造的人生は10年限り・・・なのか?
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実際の堀越二郎には色々毀誉褒貶もあるようだが、この作品の主人公はゼロ戦を設計した航空技術者という事実は踏まえているものの、堀辰雄の「風立ちぬ」の主人公を堀越二郎に置き換えたような宮崎駿のオリジナル作品の映画化であるから、それを作品批判に持ち出すのはお門違いであろう。
この作品で描かれる堀越二郎はひたすら「より美しく高性能の飛行機を作りたい」という意欲に燃える青年であり、当時それができるのが軍需産業でしかなかったという理由で戦闘機の設計に携わっていくが、ここは宮崎駿の飛行機及び飛行機馬鹿へ寄せる愛着がよく感じられる。
庵野秀明の起用の結果についてはある程度覚悟していたので、それほど違和感はなかった。しかしその声優としての起用はこの作品にどのようなプラス効果があったのか私には不明で、「ヱヴァンゲリオンの監督」の知名度以外に、何を意図してのものなのかはよく理解できない。
私が気になったのは、作中カプローニ氏の言う「創造的人生は10年限り」だ。これも何かの引用だろうか、それとも宮崎駿のオリジナルだろうか。
「人間の能力発揮のピークは短いから、やりたいことがあれば全力で取り組め」というなら納得できるが、なぜ10年という枠を設定する必要があるのか?10年を超えて創造的活動を行っている人は大勢いる(宮崎氏もその一人)と思うのだが。
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