「曖昧な挫折」風立ちぬ 5stさんの映画レビュー(感想・評価)
曖昧な挫折
カントクは最初に言ったはずですね。
「この映画は挫折を描く」んだと。
主人公は祝福された才能のある男じゃない。
恋人を亡くし、仕事で失敗し、全てを失う男の話をつくるんだと。
そこで震災後を生きる我々に響く話ができるんだと。
冗談じゃありませんよ、なんですかこの映画は。
祝福された才能のある主人公が、好き勝手に生きただけの話じゃないですか。
挫折なんて最後の数分でチラと出るくらい。
ほぼ全編が夢とも現実ともつかない描写のなかで
身勝手で中身が子供のままの男が周囲に甘やかされながら自分の好きなことをやる話です。
誰が共感します?
それでも彼の挫折がキチンと描けていれば見方も変わったでしょう、でも肝心なそれがない。
宮崎駿もさすがに耄碌したなという感じがします。
職人を標榜しながら後継者の育成に失敗してきたツケが今頃回ってきたんでしょうかね。
あ、それでも作画の細部の動きは面白かったです。そこはさすがジブリ、ていうかそれくらいしかこの作品は見どころがない。
あとアンノ監督の声は最初から最後まで違和感しかありませんでした。
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