「現代インドの青春グラフィティ」きっと、うまくいく arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
現代インドの青春グラフィティ
歌ありダンスありのいわゆる“ボリウッド・ムービー”を今作に期待すると肩透かしを食うかもしれないが(歌とダンスもあるが他のインド映画と比べれば大分控えめ)、逆にミュージカルが苦手という人には観やすい、入門用インド映画かもしれない。
確かに、多くのインド映画と同様3時間近い長尺だし、四十過ぎのアーミル・カーンが大学生(“3バカトリオ”のリーダー格ランチョー)を演じるのは無理があるなあとか、「うまーく、いくー」が合言葉でもうまくいきすぎだろとか、思うところがあるにはあるし、最後のオチはかなり前の段階でわかってしまうが、もう、そんなことはどうでもよくなるくらいストーリーが良く出来ている。
特に、前半、設定や台詞で巧妙に張り巡らされた伏線がキレイに回収される見事な後半には唸った。
ここで描かれる格差や競争といった現代インドの社会状況は、現実にはもっと厳しいものに違いない。
「うまーく、いくー」の合言葉ではうまくいかないこともたくさんあるに違いない。
でも、だからこそ小説や映画といったフィクションで希望や夢を描くことが重要なのだ。
インド本国で大ヒットしたという理由はその辺りにあるんじゃないかと思う。
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