「人生も恋も満点はいらない。」世界にひとつのプレイブック さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
人生も恋も満点はいらない。
どなる。
うるさい。
すぐきれる。
ぶつかってくる。
はげしくけんかする。
うざい。
けってんだらけ。
だから?
そんなきみがすきなのさ。
どうしようもなく。
ごてんでまんぞく。
人生も恋も満点はいらない。
本作がもの凄く喧しいのは、このパットとティファニーを軸にして周りがなんだかツイスター的に、わーって捻れてるから。
最初、その回転の速さについていけず、うるせー!ってなってちょっと目眩。けれど中盤になって回転がやや緩やかになると、周りを取り巻く仲間達の暖かさが見えてくる。
うるさくても、喧しくても善意の塊の人達。特にパットの父ちゃん。
鬱病を抱えるパットは社会復帰を目指しつつ、両親の家で暮らしています。妻のことも吹っ切れてないので、全てにおいて消極的。
そんなパットの逃げ腰気質を全財産をなげうってでも治したいと思っている、父ちゃん役のデニーロがやっぱ凄い。絶妙な間でボケて、突っ込んで、怒って、笑って、流石の職人技!本作のユーモアとシリアスの絶妙な塩梅は、デニーロによって作られてると言っても過言ではないと思う。改めて、その凄さを再確認しました。
だって本タイトルにある「プレイブック」は父ちゃんが大好きなアメフトの「連係プレーや作戦を図解したノート」のこと。やっぱ、デニーロが肝なんです!
原題が「Silver Linings Playbook」
英語のことわざ「EVERY CLOUD HAS A SILVER LINING(すべての雲には銀の裏地がある)」→どんな困難な状態でも希望がある。と、恐らくデニーロ父ちゃんが好きなアメフトのプレイブックをかけたタイトルだと思いました。
また、パットの友人役の(今回は)笑わせないクリス・タッカーもいい!テンション高めコメディアンである彼の、裏の顔を見たような感じがしてどきっとした。もっと、こんな役をやればいい。
でも個人的には、マーロン・ウェイアンズを当てて欲しかったです(笑)
そしてパットとティファニーの肝心な二人ですが。腰が引けてるパットに、暴言を吐きながらずかずか近寄ってくるティファニー。
以前、何かで書いたけど。口が悪くて、無神経で、空気読まなくて、相手の気持ちを察しない、とにかく自分の気持ちを押しつけるティファニーみたいな人ってウザい。
でもこんな強引な善人がいるからこそ、世界がなんとなく回ってるような気がする。「どうせ、私なんか」と手を拱いている人が、何かを成し遂げられるわけがない。もちろん人の気持ちも、きっと掴めない。ティファニーはパットに当たって砕けて、パットの心をめちゃくちゃに崩して、結果的に、なんだか綺麗なハート型に纏めたんです。あ、この比喩、ちょっと恥ずかしい。でも構うもんか!
ハート型にしたんです!
ラスト、二人が出場するダンスコンテストの点数は「5点」でした。10点満点の、5点。それでもいいんです。十分なんです。この点数(シーン)が、いろいろ表してて秀逸!
誰か私の心も崩して、ハート型にしてくれないかなぁ。
うわ、これも恥ずかしい。でも構うもんか!
ハート型!
※バレンタインデー間近に観たものですから、すみません。