「ヴィジョンが鍵」アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
ヴィジョンが鍵
観た直後はクソみてーな映画観ちまった、と腹立って仕方なかったが、冷静になって振り返ってみると、もしかしたら本来あったはずのシーンがカットされて、説明不足になってるんじゃないか、という可能性を考えた。
字幕で観たので、翻訳が省略されてた可能性もある。
あと、全然別の話だが、やはりアクション映画はIMAXで観ないとダメだー。映像がブレブレで、動いているものがぼやけてしか観えない。画面は小さくても、テレビでぼやけない映像で観た方が100倍楽しめる。
説明不足な部分て、どこもかしこもであげたらキリがないのだが、あえてあげると、
ウルトロン
なんではじめからジャービスの人工知能使っちゃだめだったん?
そんで、なんでスタークがいなかったときに急に統合が成功したん?
んで、元々人類を守る、ってプログラムだったのに、なんで人類滅ぼす、ってなったん?
ロキの杖の中になんで人工知能があったん?
ウィッチ
人の心を操る能力だったのに、なんでいつのまにかサイコキネシス使ってんの?
ヴィジョン
アベンジャーズの面々は、なんでこいつが生まれるときに、ウルトロンのようにならないと判断したのか?
アイアンマン
対ハルク用のアーマー、普段から使えば良くない?
ストーリーが失敗してるように見えるところもいろいろある。
双子新キャラの存在意義。スタークが武器商人であるゆえに彼を憎んでいる、というのは、重要な動機なのに、そのオチをつけないままシルバーは死んじゃった。何のために出てきたの?
ウルトロンはだめで、ヴィジョンがだめじゃない、というのはこのストーリーの核心の部分であるはずなのに、その説明が全くされていない(ように見える)。
ウルトロンがなぜ強くて、どうやったら倒せるか、というのが示されていない。補完して想像するに、ウルトロンは人工知能であるがゆえに、実体をもたず、体をいくらでも作れる。そのため、1度ネットから切り離し、その時点で実体を持っているウルトロンを一体残らず完全に破壊する必要がある、みたいな感じだと思う。でもこういうのって、どこでも説明されてないのでは…。
ヴィジョンがすごく思わせぶりに出てきたわりには、戦いにそれほど貢献してるようには見えず。
ウルトロンを倒すにはこの方法しかない、みたいな感じで出てきたんならまだ納得できるんだけど。
ホークアイ。アベンジャーズの中では能力的に見劣りしてしまう彼の存在意義とか良いところを見れそうなすごいいい流れだったと思うのだが、なんか中途半端。結果的に隠れ家を提供したくらいしか役に立ってない。
これらって、たぶん本当は映画の中でちゃんと説明されてたものもあるんだろう。でも、少なくとも僕はわからなかった。
で、ヴィジョンというキャラを考えるに、やはりこのキャラこそがこの話の本当の中心になるべきものだったんだ、と思える。
理由は、スタークの工学とバナーの生物学、キャプテンのヴィブラニウムとアスガルドのアイテム、つまりは、アイアンマン、ハルク、キャプテンアメリカ、マイティソーの4つの世界の融合から生み出されたのがヴィジョンだからだ(原作コミックの設定は知らないけど)。
この映画のストーリーは、「アベンジャーズの不和からウルトロンが生まれ」、「アベンジャーズの和解と協力からヴィジョンが生まれ、ウルトロンを破る」という構成だったら、とても美しかった。
例えば、ロキの杖の宝石の中の人工知能は、人間の負の感情に反応する性質があって、スタークの傲慢さとバナーの人間不審を身につけてしまった、とか。
ヴィジョンが生まれるときは、最後の最後でソーが協力したけど、軍縮派のキャプテンはどうしても軍拡派に同意できなかったんだよね。
でも、未来の敵に怯えてヴィジョンを誕生させてしまうのは、冷戦時の米ソを連想させていい気がしなかったので、あそこでキャプテンが反対し続けたのは嬉しかった。
ウィッチの設定は、原作コミックはどうなんだろう?と思って調べたら、人の心を操る能力ではなくて、「現象の確率を操作する能力」「現実の改変能力」らしい。こっちの方がはるかに面白そう。もしかして本当は映画でもその設定なのかな?