「最後の名言を理解できるか?」ハンナ・アーレント ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
最後の名言を理解できるか?
ハンナ・アーレントは、ドイツ系ユダヤ人で、女性の哲学者で、ナチス・ドイツの迫害により、フランス、アメリカへ亡命し、エルサレムで、アドルフ・アイヒマンの裁判を傍聴し、「イエルサレムのアイヒマン-悪の陳腐さについての報告」を発表した人です。
日本では、人気のない裁判映画ですが、実話です。
事前に「スペシャリスト 自覚なき殺戮者」を鑑賞すると理解が深まります。
ストーリーは、ハンナ・アーレントの学生時代の思い出が挿入されるくらいで、時系列に進むので理解しやすいです。
ハンナ・アーレント以外の登場人物については、知っていることが前提であるかのようにストーリーが進みます。
ハンナ・アーレント以外の登場人物については、鑑賞後、調べない限り、わかりません。
ハンナ・アーレント以外の登場人物の立場を理解していないと、この映画も理解できません。
ハンナ・アーレントは、哲学者として、最後まで考え続け、「人間が思考ができなくなると、人間が残虐行為を行う」という悪の汎用性を指摘しました。
ハンナ・アーレントは、ドイツ人もユダヤ人も人種に関係なく、大罪を犯す悪を持っていると指摘したので、一般的には受け入れられましたが、ユダヤ人からは非難されました。
ユダヤ人達の空気は、ナチス・ドイツは絶対悪で、ユダヤ人とは全く違うということです。
アドルフ・アイヒマンは、ユダヤ人課で、ユダヤ人たちの亡命と引き換えにユダヤ人たちの全財産を没収する巨額のビジネスを立ち上げ、この延長線上にユダヤ人虐殺があるのではと思うので、有罪で、死刑は妥当だと言えます。
日本の若い人の保守化が指摘されることがありますが「上に逆らっても状況は変わらない」、「抵抗したところで、どうせ成功はしない」と仕方なく考えるように、教育されているのではないのでしょうか?
いじめられようが、パワハラを受けようが、セクハラを受けようが、炎上しようが、自分で思考し、意見の言える日本人はいるのでしょうか?
いじめて、パワハラして、セクハラをして、炎上する日本人に必要なのは哲学を学ぶことです。
ナチス・ドイツに迫害され、亡命を余儀なくされたハンナ・アーレントが、アドルフ・アイヒマンを客観的に見て、普遍的な結論を導き出せた理由は、ナチス・ドイツに迫害され、亡命を余儀なくさせられる前に、マルティン・ハイデッガーから哲学も、不倫関係になり愛することも学んだからだと感じました。
マルティン・ハイデッガーは、後にナチス・ドイツに入党しました。
ハンナ・アーレントは、ナチス・ドイツが全て悪魔という考えはないでしょう。
教育は、重要です。
自分は、思考を停止し、民族として、日本人を愛する気はないです。
自分は友人を選ぶので、思考を停止し、民族として、日本人を愛する人を友人には選びません。
自分は、思考することで、自分が強くなりたいです。