「人の信念とは」リンカーン ヤマザマンさんの映画レビュー(感想・評価)
人の信念とは
奴隷条項撤廃を目指す憲法修正案の下院可決を巡る時期を軸に映画は展開する。リンカーン大統領を取り巻く家族、政治家、軍人などの人間群像が丁寧に描かれる。彼の信念は決して単純なものではないだろう。向かう場所がわからない船に乗っている夢としてそれが象徴的に描かれる。政治家が酷い現実に勝利するため進む道は容易ではない。奴隷解放の名のもと南北戦争は多大な犠牲を国民に強い続けている。さらに政治活動は家族に強く影響する。妻や成長期あるいは幼い息子たちとの関係は決して幸せなものでなくなる。特に苦しい最中でも例え(ユークリッド定理など)で物事を分かりやすく庶民に説明したり、会議での行き詰まりでユーモアを忘れない大統領の姿に感動する。
コメントする