劇場公開日 2012年11月23日

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「正直、映画は“特等席”ではなく“普通席”だが、全体的に好感」人生の特等席 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5正直、映画は“特等席”ではなく“普通席”だが、全体的に好感

2013年4月10日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

単純

幸せ

クリント・イーストウッド。
映画界の“生き神様”である。
そんな彼の「グラン・トリノ」以来の俳優復帰作。
しかも、自分の監督作以外への出演で、久々に俳優業一本のイーストウッドが見れる。

ガスはメジャーリーグの大ベテランのスカウトマンだったが、視力の衰えでキャリア継続の危機。そんな彼を心配し、疎遠だった弁護士の娘ミッキーが父の仕事を手伝う事に…。

話も作風もオーソドックス。
メジャーリーグのスカウト界を題材に、父と娘のぎこちない関係とその修復を温かく綴る。
スカウトの専門的な話も分かり易く、好感。

本作の最大の見所は何と言っても、“俳優イーストウッド”。いぶし銀の魅力を発揮し、老いても尚輝き続ける。
でも、そこが本作の長所でもあり欠点。
主演がイーストウッドでなかったら…? よくある当たり障りのない父娘ドラマになっていたのではないだろうか。
また、「ミリオンダラー・ベイビー」や「グラン・トリノ」のような深遠なドラマを期待すると肩透かしを食らい、役柄も「グラン・トリノ」の役柄と変わり映えしないのも減点。

まるでイーストウッドの一人舞台のようだが、この映画の本当の主役は娘のミッキーなのではないかと思う。
男勝りで偏屈な父にもズケズケ物を言う。幼い頃父に捨てられたとわだかまりを感じつつも、父の才能をしっかり受け継ぎ、最後にその才能を十二分に発揮する。
頑固な性格も野球バカな所もそっくり。似た者同士なのだ。
エイミー・アダムスがイーストウッドを相手に一歩も退けを取らず、さすがに巧い。

作品はイーストウッド演じるガスのようにオールド・タイプながら、口当たり良く、後味爽やか。イイ気持ちで見終わる事が出来る。
そしてやっぱり、イーストウッドの次の俳優カムバックを期待してしまうのだ。

近大