ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!

劇場公開日:

解説

ローザンヌ国際バレエコンクールと並ぶ世界最大級のバレエコンクール、ユース・アメリカ・グランプリに挑む若きダンサーたちにスポットを当てたドキュメンタリー。自身も幼少時代をバレエに捧げた経験を持つ女性ジャーナリストのベス・カーグマンが監督を務め、ニューヨークで開催される最終選考に出場する6人に密着。撮影・編集に2年の歳月を費やし、個性豊かな子どもたちの素顔や家族のドラマを浮き彫りにしていく。

2011年製作/94分/G/アメリカ
原題または英題:First Position
配給:セテラ・インターナショナル、ミモザフィルム
劇場公開日:2012年12月1日

スタッフ・キャスト

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(C)First Position Films 2011

映画レビュー

5.0ユースのオーディションに賭ける子供と親たちの「挑戦」。 そして「舞台裏の物語」。

2025年1月21日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

YAGP =ユースアメリカングランプリ。
これは、僕はYoutubeにチャンネル登録してあるので、新しい動画が次々と僕のスマホに届く。
原石たち。まったく素晴らしい。

「孤児ミケーラ」
孤児だ。アフリカの内戦で両親を撃ち殺され、孤児院にいたミケーラ。養子にもらわれて行った先で、雑誌で見ていた夢のバレリーナを目指す彼女なのだ。奨学金を獲得して養父母を助けたいのだとミケーラはつぶやく。
黒人のマッシブな身体で欧米の舞踏界に旋風をもたらす事ができるのだろうか。

「出稼ぎのジョアン」
コロンビアのジョアンは出稼ぎだ。母親からの電話でも出稼ぎ労働者としての大成をもとめられている。必ず金持ちになって家族を養ってくれとあからさまに頼まれる。念を押されている。
レッスン中は晴れやかな少年の顔も、母親と話したあとは曇っている。

「レベッカの家はお金は有る」
レベッカの両親は、レベッカ本人を前にしてどれだけの資金を娘につぎ込んできたかを、具体的に金額を列挙して取材班に話す。
車を乗り回し、CHANELのピアスをし、TIFFANYでブレスレットを買う女子高生だが、レベッカは親たちの圧倒的なサポートの約束を聞いて、無邪気に喜んでいる。

その他にも、何人もの受験生たちの素顔が、その親たちの強烈な応援態勢の姿と共に登場する。
アラン、ガヤ、ミコと幼い弟・・。

「オーディションもの」のドキュメンタリー映画は、ジャンルとしては面白いけれど、ちょっとイタい。
選に漏れた出場者の表情を我々は目撃することになる。
そして出場する子供たちにすれば、出資者=親や養父母をがっかりさせた時がどんなにか怖いことだろう。

「素質、体格、そして資力」というオーディション以前の段階で、そもそも「ふるい」にかけられている若い魂と、そこに血眼になっている大人たちの様子は、
これは事実ではあるのだろうけれど、
見ていてあんまり楽しいものではないのだ。

(実際、バレエを続けるためには、そして、ましてやプロになるためには大変なお金がかかるのだ。
ドキュメンタリー「マイコ、再びの白鳥」でも、西野麻衣子の両親は家を売って娘のレッスン代を工面した)。

シチリアからNYCへと、世界を転戦するチャレンジャーたち。
コンクールの画像に僕は思わず声を出し、身を乗り出して拍手してしまうが、
かたや思い出したくもない「踊り子」という職種の悲しい歴史の事も、僕はやはり考えてしまった。
以下 ―

纏足。京劇の旅一座に売られる幼児たち。去勢される宦官。カストラート。これらは
《美の基準》のために肉体改造を施されてきた子供たちの歴史だ・・
「踊り子」たちや「芸人」たちが、お客様やパトロンからお足をもらうためには、そして子供たちが披露する見事な芸事の裏側には、実は甕一杯の涙が流されているのだと 、このドキュメントは語る。
「お遊びではないです」と言いたいのだろうが、
自身バレエダンサーであったというベス・カーグマン監督の、その彼女による“裏舞台あばき”は、なんだか辛くて、そしてダークでもあった。

ダンサーはエトワールになれば大金持ちだし、世界の花形にはなれるだろう。
でもその裏側では、残酷だけれど、体で稼ぎ、生き抜くためには仕方なかった、かつての越後獅子や津軽の流しの瞽女と
も繋がった、
これは痛々しい芸人哀史の世界でもあるのだ。

・ ・

バレエ関連の映画は、近年目白押しだ。
「リトル・ダンサー」にもレビューし、コメント欄にも詳しく書いたけれど、
僕が小学生の頃通ったバレエスクールには6年生のMさんという人がいて、2年生の僕から見ていてもその彼女の踊りは群を抜いていたっけね。
後年彼女が東京のバレエ団に入っていた事を知り、嬉しかったのを覚えている。ご両親はきっとお金を工面なさったのだろう。
どうしているだろうかなぁー
「適当なところでやめてもらわないと困るんだよねぇ」とこぼしていた親御さんの事も、僕は知っている。

タイトルの
「ファーストポジション」とは、もちろんバレエの基本の、最も最初の一歩の立ち姿のことだ。
片手でバーを取り、まっすぐこちらを向いて立つだけの基本姿勢。
お金はかからない。0円の姿。

しかしスタートラインの時点ですでに様々な「ふるい」にかけられる子供たち。
だからこの《ファーストポジション》という題名は
=イコール「オーディションを受けられる境遇の子の《スタートライン》」としても
彼らの ラッキーorアンラッキーを、同時に表していた。

しかし、それでもだ、
いろいろはあるが、
彼らの踊りはとっても良いし、ドキュメンタリー映画としての完成度は非常に高い。見る側の胸も高鳴って仕方ない。

撮影、編集、音楽もパーフェクト。
星5つ。

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きりん

しんゆり映画祭 その2  プロバレリーナへの登竜門とされるユース・...

2024年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

しんゆり映画祭 その2

 プロバレリーナへの登竜門とされるユース・アメリカ・グランプリに挑む各国の少年少女を追ったドキュメンタリーです。5000人余りの予選から200~300人に絞られる本戦に進むのがまず至難の業で、その中から更なる頂きを目指すのです。様々な背景を負った子供達の「一流のバレリーナになりたい」の真っ直ぐな思いが胸を衝きます。でも一方で、バレーの先生が語るバレリーナの条件「才能・体格・経済力」の現実が立ちはだかります。幾ら才能があったとしても、手足の長さ、身長、筋肉の付き方は如何ともし難く、また、相応のお金がなければ夢を適える事はできないのです。

 本作で取り上げられるどの子も魅力的なのですが、最も目を惹いたのはシエラレオネからの難民としてアメリカに渡った黒人少女のミケーラでした。反政府軍によって両親を殺された過去は彼女の心に深い傷を残したに違いないのですが、アメリカの養父母が本当に愛情深く彼女を応援します。「黒人女性が白鳥の湖を踊る事は可能なのかな?」という思いも僕の脳裏を過ります。また、彼女の筋肉質の体つきは華奢な他の少女とは少し異なって見えるのです。でも、一旦ステージで舞い始めるとその躍動感が凄いのが素人目にも分かります。その彼女が足の故障を押して立った最終選考のステージには胸が熱くなりました。

 この子はこの映画の後どうなったのだろうと、観終えてから調べて驚きました。彼女は本作の戦いの後、バレリーナとしてステップ・アップを重ね、オランダ国立バレエ団のソリストにまでなったのですが、何と、今年の9月に29歳の若さで亡くなったのだそうです。詳細は分かりませんが、何と残酷な運命の仕打ちでしょう。

 そんなこんなも含めて、子供らの夢をストレートに描いた本作は素晴らしい一作でした。

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La Strada

4.5まっすぐな目にやられた。

2020年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

萌える

優雅さ、表現の豊かさってこういうものをいうんですね。
 失礼ながらちょっと太めなミケ―ラさんが、踊りだしたとたん、息を飲んだ。本当に彼女のホワイトスワンが観てみたい。うん、彼女ならできる。

「舞台はアクシデントが起こるものだ。この程度でへこたれるな」っていうコーチの言葉に励まされました。失敗した時の回復力が一番の武器ですね、何事も。
 もち時間5分の世界。
 しかも怪我とかで常に万全の態勢で望めるわけではない。そんな言い訳しちゃったら「体調管理も実力のうちよ」って言われちゃう。
 ちょっとしたミスが大きく結果を左右する。
 努力しなければ結果は出ないけど、努力したからってそれがなんだという世界。
 その中での言葉。半端ない。失敗を、実力が発揮できないのを周りのせいにしているのが情けなくなる。

ミケ―ラさんの踊りが一番好きだなあ。あとガヤちゃんもいいかも。チケット買って観に行くならこの二人かな?
 ジョアン君、アラン君は王道。
 人間的にはジュールズ君を応援したくなる。コーチに負けるな、ママゴンに負けるなって。
 ミコさんは操り人形みたいで最初つまらなかったけど、ファイナルは凄かった。
 と、子供だけど、値踏みされる世界。芸術って素晴らしい半面、酷ですね。

お父さんだけ戦地に単身赴任とか、 家族の生活背負わせるとか、どの子の親も同じように応援しているのに、ミコさんのお母さんだけ子供を食い物にするママゴンに見えてしまうのは何故なんだろう??仕切り屋さんだからかなあ?前に出過ぎだからかなあ?お父さん、母子がバレエに熱心だと仕事に打ち込めるからいいって、そればないだろう。
 それだけではない。お母さんが言う。「成功はこの子の手柄、失敗はすべて私のせい」全てを捧げる献身的な賢母のようだが、一歩間違えれば、自分で責任取れない大人に育ってしまう可能性だってある。
 自己献身に酔っている母。これほど恐ろしいものはない。

選に漏れた子とか、才能ありながらも条件がそろわずに続けられなかった子のことを考えると複雑。
 ましてや今回コンクールで賞をとってもプリンシパルになれるかなんてわからない。
 もし怪我とかしてバレエ続けられなくなったらどうするんだって突っ込みどころは満載の世界。

だけど、彼らの顔見ていると止められない。体中から、心の底から”踊りたい”!!!っていう叫びが聞こえてくる。

納得するまで、頑張れ!!!

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とみいじょん

5.0頑張れる♪

2015年6月14日
Androidアプリから投稿

当時見たとき絶対DVD買おうと思って、まだ未購入。。大人っぽい車乗り回す女子高生の子に胸キュン。可愛すぎる。
それぞれ夢があって素敵だ、モチベーションあがる!

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EMI

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