舟を編むのレビュー・感想・評価
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地道な作業。
何かに打ち込むということ
世の中には、なんでも器用にそつなくこなす人と、ある特定の分野だけに特異な能力を発揮するが、他分野では平均以下、という人と2種類がいる。これは、能力差ではなく興味の幅が広いか狭いかの違いではないか、と最近思う。限られた集中力を分散させるか、ひと所に集中させるかによって、結果が変わってくるのだ。
本作品のまじめさんは、まさしく後者の人間だ。彼は、文字で書かれたことばにだけ強い興味を示し、その仕事に打ち込んだ。作中で、彼が人の悪口を言ったりする場面は一つもなかった。それが彼の信念だから、というより、人より抜きんでたいという欲求には一切興味がなかったから、そこに注ぐ注意力の一切はことばに向けていたのだろう。結果として、彼は誠実で謙虚な人間として描かれている。出世欲からの仕事人間ではなく、仕事そのものに打ち込む仕事人間が格好良いと思うのは、このようなカラクリからではないかと思う。
静かな空気感
あまり知られてない辞書作りの世界が分かる!言葉の世界の深さ
仕事に向き合う人々の姿に心が打たれました
辞書というもの
【”気真面目に、仕事をする事の大切さ。”本好きには堪らない、辞書が出来るまでの累々として丁寧に仕事をする過程を丁寧に描く秀作。辞書編集部の美術の素晴らしさにも垂涎した作品である。】
松田はマジメが鉄板
地味な内容でしたが、面白い内容でした。
企画から発売まで20年はかかる国語辞典の裏舞台を、
馬締光也(松田)を中心に大河ドラマのように仕上がってました。
馬締は「大学院で言語学専攻」で、
最初営業に配属って、どう見ても配置ミス。
辞書を作るために生まれた男、にしか見えないのは、
若干ファンタジー。
ラブレターの件も、時代を逆行したファンタジー。
かなり笑ったけど。(戦国武将かよ!のトコね)
登場人物が少ない分、それぞれの個性が際立っており、
初めは辞書製作にネガティブな面々も、
西岡(オダギリ)が次第に馬締に協力的になったり、
岸辺(黒木)も段段辞書製作にハマっていくのが楽しい。
あと、やっぱり宮崎あおいは別格。
彼女は料理作る役が多い気がするが、実際も料理上手そう。
まっすぐに進む強さ
いい映画に出逢ったなぁ
チャラ男を演ずるオダギリジョーも良かったし、いまどき娘の黒木華も良かった
地味な内容をよくぞここまで映画として完成させたもんだ。半年間映画生活から離れていて、久しぶりに見た作品。
知的作業の積み重ね。そんな内容の映画は数多くはない。辞書の編纂には20数年かかる作業が待っている。用例収集という地道な日々の作業、他社との用語比較、最後には第五校正など・・・選んだ仕事の時間という点では、他にもあるわけだが、机上の仕事でここまで描けるものはなかなかないのです。
馬締(松田)が下宿屋のおばさんの孫娘・かぐや(宮崎)に恋をして悩み、やがて恋文にて気持ちを伝えるシーンなどは精神的に盛り上がる部分ではあるが、それが結婚に至る過程やその他、そのおばさんの死去や、編集部の松本(加藤剛)が出版間近に死去するなんてところもあっさりカットしてある潔さも全体的に爽やかに感じさせる。主人公の一生を描くのではなく、辞書が世に出るまでを描いているかのように・・・
言葉の魅力に気づく
斬新な物は何がいいのか簡単に説明出来るけれど、一見地味な物は良さを伝えるのが、とても難しいと思っています。
これはまさに後者なので、何と伝えればいいのか分からない。自分に語彙力がないのが悲しいです。
一言で表すなら、「ひとつひとつの過程をきちんと丁寧に作ってあるから」なのかな。まさに、この辞典の「大渡海」みたいに。
細かい所まで、きちんと本物を作っているから「あれ?」と思う所なく、入り込んでいけるんだと思います。
辞書がテーマなだけあって、言葉選びがきれいだと思いました。名台詞と言う訳ではなく、観客がすとんと納得出来るシンプルな言葉選びが上手でした。
編集部員も松田龍平とオダギリジョー始め、ちゃんと生きて愛される役を見事に演じてました。
辞書が10年以上もかかることや、あんなに大変な作業を経て出来る事を知りませんでした。
知っていたら、私のこのレビューも何か伝えれるものになっていたと思います。
この感情を言葉にする力がなくて悲しい。今までもそう思って来た事はありますが、どうしたらいいかその手段が分かりませんでした。
これからは、辞書を片手に一歩ずつ理解を深める人生を過ごしたいと思いました。
辞書と人生
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