夏の終りのレビュー・感想・評価
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影と、光と。
へえ、こういうのを「奔放な女」というのか。ちょっと意外な気がした。物語前半こそ、彼女は余裕綽々で、愉しげに二人の男の間を揺れ動く。長年関係を続けてきた妻子ある年上の男•慎吾と、かつて家族を捨てるほどに焦がれた年下の男•涼太と。年上の男を揺さぶり、年下の男の揺さぶりを突き放す。当然、そんな蜜月は長続きしない。相手は己れとは違う意思を持つ生き物だ。いつしか彼女もずぶずぶと関係のもつれに身を落とし、もがけばもがくほど動きが取れなくなっていく。
格子戸から覗く慎吾の片目、食べかけのまま涼太に打ち捨てられる桃…等々、どきりとさせられる画は枚挙にいとまがない。とはいえ、何と言っても満島ひかり演じるヒロイン•知子の佇まいが印象深い。冒頭でいきなりコロッケ、続いてビスケット、蜜柑…彼女はとにかくよく食べる。たいして栄養になりそうもないものを、豪快に摘み、わしわしと咀嚼する。酒を飲み、煙草をふかすのも堂々としたもの。男たちとの関係と同様に、彼女は後ろめたさを持たない。自分に正直に、求めるままに。ときにはつらぬくのが難しくても、そんな姿勢を自ら確かめるように、力強く食べ、飲み、ふかすのだ。
そして、型染め。迷いのない、力強い手つきで鮮やかに草花を彫り出し、一心不乱に染め上げる。後半、藍の染色で手先を青くしたままの彼女は、追い詰められながらも奈落の直前で踏みとどまる。生身の男と、そして自分の欲望と、各々へ対峙する姿にぞくりとした。
陰影で始まった物語は、輝かしい光に包まれ幕を閉じる。ちょっと唐突で、戸惑いを感じるほどに。恋愛は彼女の一部に過ぎない。弄びもせず、弄ばれもせず。激動を経て平穏に至り、さらなる高みに至った彼女は、どきりとするほど美しい。
瀬戸内さんの過去の恋愛話、見たいかな…?
瀬戸内寂聴が出家前の体験談を基にした小説の映画化。
妻子ある年上男性と年下男性の間で揺れる女性を描く。
今は出家して高尚な身だが、瀬戸内さん、普通に不倫や三角関係してたんやな…。
作品の方は満島ひかり、小林薫、綾野剛ら実力派の演技光る、しっとりタイプの大人の恋愛ドラマ。
情感ある作風は悪くないが、とにかく淡々とした語り口で、熊切監督にしては物足りなさも感じる。
それに、不倫や三角関係といった話なのでそもそも感情移入出来るか否か、瀬戸内寂聴の過去の恋愛話見せられても…。
良く言えば、波乱に満ちた一人の女の生きざま。
流されながらも、愛を追い求め、感情を爆発させたとあるシーンには女の強かさを感じた。
老齢の僧の身でありながらも、小説を書いたり新しい事に挑戦したり、貪欲な兆しはあった。
美しい。色気。 満島ひかりが美しいこと美しいこと。見とれる。 やは...
美しい。色気。
満島ひかりが美しいこと美しいこと。見とれる。
やはり満島の演技に最初から引き込まれた。あの感情の爆発、さすが。
やってる事は満島も小林薫も最低だけど、人のこと言えないので共感出来てしまった。特に満島ひかりの、満たされなくてずっと苦しんでる、もがいてる感じ。何をやっても満たされないのは自分の問題だし、そう考えると涼太が言うようにとても無神経な女だ。
満島は人間のどうしょうもなさをよく描けていたと思います。
果たしてあれは愛なのか。
全体的な雰囲気としては、和。という感じでとても涼しげ。良い。日本の四季を感じる。
ストーリー的には、んーって感じ。構成が微妙で何を表現したいのかがよく分からない。役者に支えられた感。
特にラストは不可解。なぜあんなこと言われてあんなに清々しい顔をしているんだろう。再出発しようとしたばかりなのに。私にはわからん……。
愛すること。愛されること。
私の中での綾野剛祭り第2弾の作品です。
綾野剛ファンであり、ストーリー的に観たかった作品でした。
人は生涯、何人の人を愛し、愛されるのだろうかと考えさせられました。スマホなどのない昭和感も良かったです。
the日本映画...
これぞ日本の映画といった感じで、夏の蝉の鳴き声だったり雨音だったり、四季が美しく映し出されてた。
だが、内容はというと…どっちつかずの主人公の様子にちょっと苛立ちを感じてしまってた。
うん。そうゆう風に思えるのも、満島ひかりさんの演技が素晴らしかったからだろう。
映像がきれい。
その一言に尽きる作品。
オープニングからじっと見入ってしまう。
キャストもきらきらしてなくていい。
だけど心に響くものがなかった。
すごく雰囲気はいいのに、
メッセージは伝わってこないし
何やってるのかなーと、引いて見てしまう。
感受性鈍ってる?私。
煙たい映画
しかし喫煙シーンが多い映画だ。
最近の人にはわかりにくいでしょうね。
煙草をのむ人の気持ちが。
美しい映画。
しかし、今ひとつ話の中に入っていけない。
期待させられながら報いてもらえない感じです。
話をわざと解り難くしようと思えてならない映画でした。
もっと素直につくれば(ありきたりになる可能性はありますが)良い映画になったでしょうに。
女とは
瀬戸内寂聴さんの小説を元にした作品。
女の気持ちがストレートに描かれている。
強さ、美しさの中に
寂しさ、弱さ、欲深さが隙間見える。
愛とは言い訳にすぎない。。
馬鹿な女だと思う反面、本能のままに生きることも難しく素敵だ。
夏の終わりを感じさせる静けさ
とても静かな映画である。
ひとりのわがままな女の怠惰な生活を描いたというとそれまでなのだが、それがとても痛い。
どことなく寂しい。
退屈といえば退屈、しかしこの映画には必要不可欠な要素だろう。
満島ひかりという人が実によかった。
小林薫も好きだが、満島ひかりの怠惰さが画面からエロスを感じさせる。
原作は瀬戸内寂聴だとか。
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