「“違和感”の正体は・・・。」脳男 ひまじん三太さんの映画レビュー(感想・評価)
“違和感”の正体は・・・。
原作は読んでいないので「原作ファン」ではありません。
ではなぜ初日に観に行ったかというと、
「クリムゾン」の曲を主題歌に取り上げてくれ、今、あらためて「脚光」を浴びさせてくれたから。ある意味感謝の気持ちを込めて。(設定も興味深かったので)
学生時代に聴いて、はまりまくった「クリムゾン」。
今回主題歌に使われた曲は、曲名からも本作に通じるという点では使われる要素はあったとは思いますが、一般受けする、いわゆる日本では“メジャー”なバンドではないので、そういう意味では制作側の強い意志が感じられ、嬉しかったわけです。
特に、バンドとして一番キレていた時代の曲なので、この曲をきっかけにクリムゾンの曲を聴き始める人たちが増えてくれるとうれしいです。ホント、聴きがいがありますから。
特にお勧めは、「深夜想曲3部作」と勝手に銘打った、「エピタフ」「ムーンチャイルド」「ナイトウオッチ」の3曲。本映画の主題曲とは真逆の「美しい曲」です。是非御一聴を!
曲に関する話が長くなってしまいましたが、ここからが本題です。
「ドラマ」としては良かったです。
話の流れも無理なく進んでいって好感でした。
もちろん普通につっこみどころもあります。
ラストのクライマックス部分。
映画として“派手に”したいのもわかりますが、病院(作中では医療センター)を爆破しすぎかと。テロ?ですかという感じ。
それと、主人公が車で思い切り轢かれたシーン。
「無痛」というのと「不死身」とは意味が違います。
普通、骨、バキバキで立ち上がれないのでは?
まあ、映画ですから、そこはまあいいです。
問題は、観ていて感じた「違和感です」
これにより、もしかしたら「名作」になり得たのでは?と思えたのに、「惜しい」作品になってしまったかもしれないので。
それは、「江口洋介」を“立てすぎた”から。
準主役扱いの役としている担当刑事に、主役級の著名役者を使うのはもちろん“あり”だし、江口洋介の起用自体が悪いというわけではない。
いけないのは、あくまで映画作品として大事なのは「作品」そのものであり「説得力ある話」であるという大前提を“崩して”しまったから。
この映画の主題・魅力は、あくまで、鍛えられ完成された「殺人ロボット」としての主人公の“ダークヒーロー振り”であり、その意味で、もっとその「体技の強さ・凄さ」は際立っていて良いのではと思うのです。
したがって、病院内での江口刑事との“格闘”シーンは、すんなり主人公がケリをつけて欲しかったですし、ラストの敵キャラも江口刑事が片づけてしまうのも「おいおい」という感じで、そこに「違和感」を感じてしまうのです。
この設定は、想像するに、とても“自然な”話の流れではなく、「江口洋介」としての“見せ場”を確保しただけ、という風にしか見えません。それが、この映画を「惜しい」と思わせると同時に「違和感」を抱かせてしまうこととなったと確信します。
ホント、思ったより「良かった」だけに、この「違和感」さえなければ、それこそ「名作」になり得たかもと、「惜しい」なと感じました。
ので、あえて「お薦め」はしませんが、興味がある方はどうぞ。
それなりに観終ったあとの満足度は高いかと思います。