ソ連脱出 女軍医と偽狂人
劇場公開日:1958年8月31日
解説
ソ連のラーゲル捕虜収容所を舞台にしたソ運の女軍医と日本捕虜との物語で、舟崎淳の原作を、杉本彰が脚色、「新日本珍道中 (西日本の巻)」の曲谷守平が監督した。撮影は「薔薇と女拳銃王」の岡戸嘉外。へレン・ヒギンス・細川俊夫・国方伝・御木本伸介が出演。
1958年製作/75分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1958年8月31日
ストーリー
昭和二四年ハバロフスク捕虜収容所--民主委員黒井の一派は、ソ連側に便乗して同胞の日本人から憎しみをかった。舟橋も無実の罪と、黒井たちの策謀で監獄につながれていた。女軍医リーザは政治部から、舟橋の取調を命じられた。舟橋は黒井らの迫害をリーザに救われた。舟橋は画家の才能を認められ、リーザの肖像を描くことを命令された。リーザの優しい物腰は、かえって舟橋に警戒心を抱かせた。そこで、舟橋は一計として気違いをよそおった。これが見事に成功して、病院に収容されることになった。黒井はこれをみてよろこんだ。ところが収容所に出発しようとしたとき、リーザが来て自分のジープに乗せた。彼女は日本語でいろいろと彼にたずねた。どうにか気違いの化の皮をはがされずに済んだ。その時、ジープはハンドルを切りそこなって、二人は道路にほうり出された。リーザは失神し、彼の腕に抱かれた。正気にかえった彼女は激しく舟橋に接吻した。彼は心ならずも彼女を抱きしめた。政治部では舟橋が偽狂人ではないかと、徹底的に診察した。麻薬療法で正気にかえった舟橋は、再びリーザの肖像を描いた。彼女は涙を浮かべて彼に愛の告白をした。しかし、彼は敵のワナかもしれぬと、彼女を振りきった。黒井たちは病室に現れ、病人をアジった。舟橋や江之上は黒井の暴力的専制を責めたてた。黒井は舟橋の戦犯を追求した。舟橋は難を逃れるため再び気違いをよそおった。政治部も激しい追求をはじめたが、リーザが来て彼をかばった。舟橋は馬車で町に飛び出し、大芝居を打ったため監禁された。それから一ヵ月、黒井たちの悪業が発見され監獄に送られた。舟橋は本当の狂人と認められ本国送還となった。別れの時、舟橋はリーザの本当の愛情をしり烈しい抱擁に我を忘れた。帰国船の上から、舟橋はいつまでもいつまでも手を振って、リーザとの別れをおしんだ。