双生児学級
劇場公開日:1956年10月1日
解説
人間形成に大きな影響をもつと考えられる遺伝と環境の問題を一卵生双生児の姉妹を主とし、二卵生の例でも追求する一つの学術映画。一般向。
1956年製作/39分/日本
原題または英題:Twin Sisters
配給:日活
劇場公開日:1956年10月1日
ストーリー
「双生児学級 -ある姉妹を通じて-」 これは「教室の子供たち」「絵を描く子供たち」「グループの指導」とつづく子供の性格や環境の問題を追求した一連の結論的な作といえる。 さて、特に双生児教育をつづける中野の東大付属中学には、今春も20組ほど双生児の兄弟姉妹が入学してくる。映画はその双生児学級と一年あまり生活を共にして例により盗み撮りカメラによってその実態をとらえる。まず新入双生児たちのなごやかな自己紹介にはじまり、一卵生の上杉姉妹を主として展開される。この姉妹も身体のかたちや表情、敏感な個性などの、いわゆる両親からうけついだ遺伝性では、それこそ全く似かよっているのだが、二卵生の兄弟姉妹では平常の兄弟姉妹とかわりがない。それらが運動競技や教室における姿態などで比べられる。ことに絵を描かせてみると、教室はちがっていても一卵生姉妹の絵には類似点がいちじるしい。 しかし一卵生の姉妹も姉はおっとりして妹は快活であるという違いがみられ、しかも二人に将来の夢を絵にかかせると、姉はつつましく実際的で現実的なのに反して妹は派手で空想的な自由さをもつというのはおもしろい。つまり同じ家に育っても一方は姉として他方は妹としての立場--環境の相違!によると作者はいい、その典型的な姿として同校の卒業生で実社会に活躍する内藤君兄弟の例を示す。映画はかくて人間の性格は遺伝ばかりでなく、その後の生活環境によって形成されることを物語り、いつかは上杉姉妹も別々な道をたどることを暗示する。