恋の十三夜
劇場公開日:1949年6月5日
解説
製作は「美しき罰」「朱唇いまだ消えず」の山口松三郎と「美しき罰」「嘆きの女王」の須佐寛の協同で、北条誠の原作から「魔の口紅」の斎藤良輔と「麗人草」「魔の口紅」の鈴木兵吾が協同脚色し、「麗人草」につぐ原研吉が監督する。キャメラは同じく「麗人草」の森田俊保が担当する。出演者は「美しき罰」の折原啓子「君待てども」「嘆きの女王」の月丘夢路「青い山脈(1949)」の池部良、「麗人草」の市川春代、「流星」の伊沢一郎、「美しき罰」「森の石松(1949)」の山路義人、「花婿三段跳び」「森の石松(1949)」の河村黎吉、「花婿三段跳び」の岡村文子「シミキンのスポーツ王」の勅使河原幸子「異国の丘」の宮川玲子などである。
1949年製作/97分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1949年6月5日
ストーリー
舞妓の由起子は貧しい家に育ち、老いた父と二人暮しだった。古いしきたりの中に育った由起子にもたった一つの燃え上る希望があった。それは細川清久との約束であった。清久は東京から京都の大学へ来ている真面目な青年であった。だが運命は皮肉であった。清久の東京の家は家政が傾き、志村家の援助を受けねばならず、志村家の令嬢久美子と清久の結婚によって細川家を守ろうとする清久の叔父田宮の計画で、久美子は田宮と京都へやってきた。田宮はしかし清久が由起子と親しくなっていることを知り、由起子の父清三をたずねる。そこで清三は、かつて東京のお邸に運転手としてつとめていた家の令嬢が久美子であること、その久美子と結婚する清久をわが娘が愛していることを知って驚く。清三は厚遇をうけたかつての志村家への義理立てから、由起子に清久を思い止まらせようとする。由起子はやはり古い慣習の中に育った娘だった。封建的な日本人の人情制度の中に育った娘だった。悲しくあきらめようとする由起子--。ちょうどそのころ東京の家からの電報で帰郷した清久は久美子との結婚を父の前できっぱり断った。久美子はいう、幸福な結婚はお互いの誠心と信頼だけであるのだ。だから清久さんは由起子さんと結婚しなければならないと、清久は久美子との気持ちも割り切れ、急きょ京都へ帰った。それとは知らぬ由起子は悲しいあきらめの心を抱いて心染まらぬ男のところへ行くことにした。清久の熱情は、その寸前、由起子のところへ飛び帰り、二人は固く結ばれたのだった。