青蛾

劇場公開日:

解説

製作は「懐しのブルース」「風の中の牝鶏」の久保光三、脚本は「懐しのブルース」「抱擁(1948)」の鈴木兵吾、監督は「懐しのブルース」の佐々木康、「誘惑(1948)」「駒鳥夫人」の佐分利信、「懐しのブルース」「天の夕顔」の高峰三枝子、「抱擁(1948)」「追跡者」の徳大寺伸、「かりそめの恋」「手をつなぐ子等(1948)」の笠智衆が顔をそろえた。

1948年製作/72分/日本
配給:松竹・大船
劇場公開日:1948年10月19日

ストーリー

森の中に瀟洒な別荘が立っている、朝霧がかけて……。笠井と妻の多岐子が都会をさけてこの別荘に現れた。仕事の忙しい笠井が妻を伴ってこんな処にゆっくりと保養に来るのはひどく珍しい事だった。一週間ばかり滞在しようかと笠井がいい出したのも何時もの笠井を知っている多岐子には、全く驚くべきことだったのである。どうした風の吹き回しであろう。素直に受取り兼ねる事であった。笠井に何か企みという程でなくても含みがあるのじゃないかと多岐子は想像した。というのは実をいうと多岐子の過去に影があったのだ、作家の木島の姿である。木島は多岐子を熱愛していたし、多岐子も木島が好きであった、笠井という男が現れなかったら、彼女は木島と結婚していたろう。しかも笠井と一緒になってからも彼女は度々木島と会ったり、パーティーに招いてダンスをしたりしている、その上に、木島との間にあらぬうわささえ立っている。笠井がそのうわさを知っているとすれば決して愉快には思わぬだろう、そういえば急に別荘行を思い立ったのもおかしいし、何となく夫の素振りに解せぬものがある、猟銃を磨く笠井の眼に異様な光がただよっている。多岐子は自分の寝室に一人入って考え込む、突然木島が訪ねて来る、笠井と木島は外面さり気なく振舞うが内に鋭く対立する、どちらからともなく猟を競うかという事になる。森にこだまする不気味な銃声、多岐子は森の中をうろうろと混乱して走り回る。いけない、どちらかが殺される。殺意の明らかに出た笠井の瞳、自分も殺されるのではないか。多岐子は悲鳴を挙げて部屋に帰る、白い小ねこに牛乳をやる。小ねこは狂って死ぬ、牛乳に毒薬が--。明らかに自分を殺そうとしている笠井の恐ろしい計画なのだ。アッと驚く多岐子。しかしこれは夢であった、さめた時木島が訪れて来る、笠井がこれは招いたのであった。総ての誤解をとく為に。そして総てが判った。笠井の多岐子に対する愛の深さも、木島の気持ちも……。

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