シャンドライの恋
劇場公開日:2000年2月5日
解説
ローマにある古い屋敷に住む、英国人音楽家キンスキーと住み込みの使用人シャンドライ。健気な仕事ぶりからシャンドライを愛するようになったキンスキーは彼女に愛を告白するが、驚いたシャンドライは「じゃあ夫を刑務所から出して!」と口走ってしまう。彼女には故郷アフリカに政治犯として捕まった夫がいたのだ。翌日から再び二人の間には静寂が訪れるが、それ以後何故か日を追うごとに屋敷の中の調度品が少なくなっていく。
1998年製作/94分/イタリア
原題:L'assedio
配給:アミューズ
スタッフ・キャスト
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2023年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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■らせん階段のある古いローマの屋敷。
屋敷の主人で寡黙で人前では演奏しない世捨て人のようなピアニストのキンスキーは、政治活動で夫が逮捕され、アフリカからやってきた屋敷の使用人・シャンドライと出会う。
彼女の一生懸命に家を掃除しながら、医学を学ぶ姿に惹かれたキンスキーは、突然、彼女に想いを告げるが…。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・可なりアーティスティックな作品である。冒頭のアフリカで教師をやっていたシャンドライの夫、ウインストンが突然、政治犯として捕らえられるシーンから始まる。そして、アフリカ人独特のリズムを口にする黒人男性の姿。
・場は、突然ローマに移る。シャンドライは、瀟洒な屋敷で使用人として働いている。そんな彼女の一生懸命な姿を優し気な目で見ているキンスキー。
■ある日、突然キンスキーは、シャンドライに告白し、結婚してくれと頼むが、夫がいる彼女は驚き、屋敷を飛び出してしまう。
ー が、行くところもない彼女は、キンスキーの屋敷に戻る。そして、キンスキーは彼女の夫が政治犯として囚われている事を知るのである。-
・その後、キンスキーは突然、自分のピアノを売り、徐々に屋敷の品々も消えて行く。
ー そこに、突然届いた、シャンドライの夫が無事である便りが届く。喜ぶ、シャンドライ。そんな彼女を優し気な瞳で見つめるキンスキー。
そして、ウインストンが釈放され、ローマに来るという手紙が届く。
シャンドライは、その手紙を書いたのが、キンスキーだと知り、紙にお礼の言葉を多数書き、最後に一枚の手紙を持って、キンスキーのベッドに足を運ぶ。-
・二人が、同衾したベッドで横たわっている時に、キンスキーの屋敷のベルが鳴るが、シャンドライは出ない・・。
<今作は、一人の白人ピアニストが黒人女性へ捧げた無償の愛と、それに応える黒人女性の姿を、クラシックの音色を背景に描き出した、アーティスティックな恋物語である。>
2022年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ベルナルド・ベルトルッチ監督による繊細で温かい気持ちになる恋愛映画。
アフリカで夫が教壇から連行されたことから、イタリアに亡命して、ピアニストのキンスキーなる男性の家で住み込み女中として働くシャンドライ。
するとキンスキーはシャンドライを愛し始めて結婚を申し込むのだが、シャンドライに夫がいることを知るキンスキーだったが……という映画。
全体的に会話があまり多くない映画なので、場面の流れとか雰囲気で物語の背景を察する必要があるが、わりとスッと入って来る物語展開。
また、さすがベルトルッチ監督なので、全編にわたって、映像が美しい。スローモーション、レコードの音飛びのような画面の微妙な省略によるスキップ的映像、らせん階段をなめるように追って映す映像の素晴らしさなどなど、ほんとに美しい!
亡き叔母から家などを相続して裕福なはずのキンスキーだが、途中から徐々に部屋の中の彫刻が減っていき、グランドピアノまで……この意味を知るとき、とても感動させられる。
ベルナルド・ベルトルッチ監督の見事な映画のひとつ。
会話が少ない映画だった。言葉によって説明されることは少なかった。ひたすら、二人の行動と、あとは目の動きとか表情を食い入るように注意深く見ることになる。そうしているうちに、映画に仕掛けられた?独特の雰囲気に飲まれていく。
二人が何かにつけ対照的なオーラを放っているのがおもしろかった。それぞれがお互いを引き立てているようにも思える。
全く異なる糸が織りなす見事な織物のように、異質なものがいつの間にか融合してひとつになる。
自ら足りないものを直感的に補おうとするなら、そうなるのは自然
の流れなのか。ピアニストは必要なものを直感的に確信していた。
たしかにこの二人は、意外に、一緒にいたほうがバランスがいいように思える。
ところで二人はどうなるんだろう?このままでは不倫となり結婚できない。このあと、煩わしい事が色々待ってそう…でも、そこはどうでもいいかな…
感覚的に印象に残る映画だった。
2019年1月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
遠く離れた夫を想いながらも自分の将来を見据えて順調にも映る彼女の生活。
序盤、アフリカ民族の音楽に歌が印象的でもあり、それとは対照的に流れるピアノの音色。
急に怒り出したりトウモロコシや果物を貪り食う姿など情緒不安定にも感じられる彼女の心情はラストまで解らない。
夫を受け入れてしまうことによって今の生活が変わってしまう恐れ、酒の力を借りたようにも思える結ばれ方など彼女が取る結末は?
どちらにしても罪深い女性に思えてしまう。