世にも面白い男の一生 桂春団治

劇場公開日:

解説

大阪が生んだ無類の愛敬者、桂春団治の物語。長谷川幸延の原作より監督の木村恵吾が新喜劇の渋谷天外と共同脚色、「月の紘道館」の木村恵吾がフリーになっての第一作。撮影は「遠山金さん捕物控 影に居た男」の三村明。主な出演者は「猫と庄造と二人のをんな」の森繁久彌、「日本橋」の淡島千景、「殉愛」の八千草薫、「日蝕の夏」の高峰三枝子、「猫と庄造と二人のをんな」の浪花千枝子、エンタツ、「天上大風」の田中春男、「アチャコ行状記 親馬鹿天国」の本郷秀雄、ほかに三好栄子、杉山昌三九、山路義人など。

1956年製作/108分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年11月27日

ストーリー

大阪ミナミ法善寺横丁の寄席“花月”で前座を勤める桂春団治。新らしい型の上方落語で世間に一泡ふかせようとしても仲間は白眼視、お客にはののしられる有様である。だが彼に二階を貸している車夫の力蔵、小料理屋の女中おたま達は、彼を見込んで苦しい生活の中からも何かと尽す。殊におたまは借金取りに行った際、彼と床を一つにしてしまう程。やがて看板も大きくなった春団治、だが相変らずピーピーで、酒と女癖の悪さはつのるばかりである。御ひいき筋、小間物問屋岩井辰の若後家おりゅうも、やがて彼と割ない仲となる。その頃、京都の宿屋の娘ときが、女房にしてやるという言葉を真に受け、身重の体で訪ねてくる。さすがに堪り兼ねたおたまは彼の許を去る。その日の暮しにも困るときは、お抱え車夫となった力蔵と相談し寄席の傍にある力蔵の車へ子供を捨てる。負けたとばかり子供を抱き久しぶり我家へ戻った春団治も、酒がないとおりゅうの家へ行こうとして力蔵にドヤされる。六年の後、今は一枚看板となった春団治はレコード会社との契約違反で差押えられるが、おたまが作ってくれた弁償金で救われる。金を持参したおりゅうから仔細を聞いた彼はおたまを訪ね、よりを戻そうとしたが、「芸人の苦しさは判っても人間の苦しさが判らへん」といわれ、ハッとする。京都に訪ねたときからもきめつけられ、成長した我が子によそながら会った春団治は、間もなく病に倒れた。臨終の際、先に死んだ力蔵が白い人力車で迎えに来た。おたま、とき、おりゅうらの涙に送られ、春団治は「本当に泣いてくれてるのやろか?」と呟きながら息を引取った。

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