夜を探がせ

劇場公開日:

解説

週刊読売に連載された石原慎太郎の同名小説の映画化で、「男なら夢を見ろ」の池田一朗が脚色し、「潜水艦イ-57降伏せず」の松林宗恵が監督したアクション・ドラマ。「サラリーマン十戒」の鈴木斌が撮影した。

1959年製作/99分/日本
原題または英題:The Doom of Night
配給:東宝
劇場公開日:1959年10月18日

ストーリー

深夜、巨大な倉庫の一隅に一人の若い男が近づいた。他の男が彼を待ち受けていた。しかし何やら取り出そうとした一瞬、若い男に四、五人の人影がとびついた。男は巧みに逃げた。貧しい服装、だがいかにも精悍な男である。麻薬密売で食いつないでいる佐伯五郎である。刑事の足音も遠のいたと思うと、傍に一人の男が血の海に倒れていた。男は佐伯に脇坂という名前と一本の万年筆を託して死んだ。男の肩をゆさぶる佐伯は何者かに射たれた。翌朝佐伯は警察のベッドで目覚めた。殺された男は朝永と言う中華料理店の主人だった。佐伯は釈放された。謎の万年筆から出た古い書類には「松江、片山、脇坂、に興安嶺調査隊を命ず」と書いてあった。殺された朝永を洗うと巨大な資本力をもつ三立興行に関することが判明した。三立の社長は脇坂である。何かある!面会を申込んだが脇坂は断った。佐伯は脇坂の娘美奈子に近づいた。成功だった。興安嶺調査隊のうち、松江は死亡、脇坂の他は片山が生きている筈だった。佐伯は当時満洲で暗躍した榊原を大阪に訪ねた。榊原は生き残りの二人については新宿のバー「チタ」のマダムの千代にきけと教えた。「チタ」では女給の陽子が二、三度盲の年寄りが千代を訪ねたと言った。千代は轢き逃げされた。佐伯は「チタ」の店を買い取り、陽子をマダムにして例の盲の年寄りの出現を待った。ブローカー戸張が金を出した。上京した榊原と都下の松野は脇坂を訪ねたが会えなかった。脇坂は殺し屋黒住に二人を葬るよう命じた。黒住は松野に佐伯がもっている書類の件を告げ、二人と佐伯をかみ合わせた。佐伯は美奈子を愛した。心苦しくなってその企みを打ち明ける佐伯を黒住は車から射った。ある日「チタ」に老人が訪ねて来た。調査隊唯一の生き残り片山であった。連絡をうけた戸張はその夜殺された。しかし佐伯は戸張の手から古い手紙を得た。片山に見せると意外なことを語った脇坂は既に死んでいた。脇坂と松江は顔の似たいとこ同士であったが、あくどい松江は左顔に大アザがあったという。佐伯は脇坂の左頬に大きなアザのあったことを思い出した。片山の家を出た佐伯は松野にゴム工場のタンクに連れ込まれた。タンクから出る硫酸は人を簡単に殺してしまう。榊原はこの代償として脇坂に三千万ゆすった。これを知った美奈子は黒住に助けを求めた。佐伯と片山は縄をすり切るとタンクを出た。松野たちが待っていた。しかし松野は黒住の拳銃で倒れた。脇坂は佐伯の姿に驚いた。脇坂の富と妻を奪って脇坂になりすました松江に佐伯は古い手紙をつきつけた。美奈子は死んだ脇坂の娘だった。脇坂の部屋から銃声が響いた。松江は自ら亡びた。

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