風来坊一番勝負
劇場公開日:1958年5月18日
解説
「旅は気まぐれ風まかせ」の小国英雄のオリジナル・シナリオを、「花太郎呪文」の安田公義が監督、「千両槍」の竹村康和が撮影した明朗新時代劇。出演は「陽気な仲間」の勝新太郎、阿井美千子をはじめ、田代百合子、小町瑠美子、志村喬など。
1958年製作/77分/日本
配給:大映
劇場公開日:1958年5月18日
ストーリー
妙な風来坊が、江戸の鬼目明し鳥越町の藤兵衛の家にフラリと現われた。奥州一の関から江戸に修業に来た、東北弁丸出しのノンビリした田舎者、与作である。休養中の父に代って、一人娘のお小夜が十手を預っていた。--蔵前の両替屋佐渡屋嘉兵衛の娘お光の、踊りの名取り披露目会に、お小夜は出席した。嘉兵衛は近くの小舟で寛永寺浄心院の寺侍島田伝八郎と山中某に井上真改の銘刀を与えていた。お小夜は会の帰途、伝八郎らが銘刀の試し斬りに、うどんや六助を斬ったのを目撃した。配下のチョロ松に二人の後を追わせたが、二人は吉原で消えた。が、その身許は寛永寺の寺侍であることが判った。--佐渡屋の両替金から贋金が出た。その噂を、同心安井平十郎が調べたが 何も確証はつかめなかった。裏から探ってくれと、お小夜に頼んできた。チョロ松と与作は、贋金使いの現行犯、寛永寺の門番多助を捕えたが、与作はわざと彼を逃した。お山の衆を町方のものが捕えるわけにはいかないのだ。前の二人の侍も浄心寺のもの、--その住職公海には十年前怪事件があり、その時伝八郎は寺侍に成り上ったのだ。与作はそれをちゃんと知っていた。ただものではない。--嘉兵衛が何ものかに毒殺された。大番頭の忠助は自分宛の遺書を示し、自殺だと言った。目明し勘助はお光の恋人、番頭清次郎を犯人として縛った。清次郎は嘉兵衛から信頼されてい、暇さえあれば一緒に仏間に閉じこもって念仏三昧にふけっていたという。お披露目の夜、彼はお光に駈け落ちしようと持ちかけたともいう。お小夜はその仏間で地下室に通じる穴を見つけた。地下室には贋金つくりの跡が残っていた--。忠助が白状し、贋金の件も嘉兵衛殺害も、例の寺侍二人が元兇と知れた。浄心寺で、佐渡の領主の法要が催された。佐渡出身者は参詣を許される。お小夜と与作は競争で、それぞれ変装して忍びこんだ。お小夜は御霊屋のなかを探すうち、地下の石室に落ちこんだ。与作はそこにあった贋金つくりの道具一式(証拠の品)を上にあげさせるとそのまま逃げだした。が、むろん、彼女は彼の命令で来たうどんやの伜、軽業師太郎吉に救われたのである。それまで、与作は追手を自分の手もとにひきつけていた。挙句、伝八郎らに追いつめられた。と、うどんやのいた長屋の連中が現われ、彼を救い、伝八郎らを倒した。翌日、寺へ乗りこみ証拠の品をつきつけ、贋金つくり一味をシボったのは、与作こと大目付の副使、村垣与三郎であった。弘海はニセもので、十年来、伝八郎の兄が化けていたのだ。事件は落着した。与三郎はお小夜に礼を言った、--いろんな意味で。
スタッフ・キャスト
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与作勝新太郎
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お小夜(藤兵衛の娘)阿井美千子
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お光(嘉兵衛の娘)田代百合子
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お千代(六助の娘)小町瑠美子
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藤兵衛(目明し)志村喬
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清次郎(お光の許婚)和泉千太郎
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チョロ松(藤兵衛の下ッ引)本郷秀雄
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島田伝八郎(寺侍)小柴幹治
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忠助(大番頭)寺島雄作
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庄吉(中番頭)五代千太郎
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山中栄之進(寺侍)寺島貢
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弘海(浄心院住職)羅門光三郎
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お光づきの女中朝雲照代
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井上美濃守(大目付)南部彰三
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安井平十郎(定廻り同心)伊達三郎
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六助(夜泣きうどんや)浅尾奥山
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勘助(目明し)藤川準
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吟味役横山文彦
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多助(寛永寺門番)玉置一恵
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大目付の侍岩田正
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善兵衛(百軒長屋の世話役)芝田総二
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そば屋の親爺三浦志郎
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吉原「新玉屋」の若い者越川一
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そば屋の伜旗孝思
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五郎八(勘助の下ッ引)内海透
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太郎吉(お千代の弟)太田博之