土俵物語

劇場公開日:

解説

面白倶楽部所載の水島欣也の原作を、「東京の瞳」の星川清司が脚色、「冥土の顔役」の村山三男が監督、「春高楼の花の宴」の渡辺公夫が撮影した房錦物語。出演は房錦自身が主演するほか、見明凡太朗、村瀬幸子、大山健二など。また栃錦、千代の山らの有名力士も出演している。

1958年製作/79分/日本
劇場公開日:1958年3月5日

ストーリー

行司式守錦太夫の息子正勝少年は幼い頃から相撲にあこがれ、いつか相僕取になって天下の横綱を張りたいと夢みていた。だが病弱な正勝のことを心配する母親は、彼を将来医者として立たせたいと考えていた。父錦太夫も相撲社会に生きるむずかしさを知っていたので、正勝の希望には反対だった。だが彼の決心はますます強固になり、十四歳のとき、とうとう若松親方に弟子入りしてしまった。母親は勿論大反対、錦太夫も愕然としたが正勝の決心は変らず、ついに五年間の期限つきで力士になることを許してもらった。父から小桜というシコ名を貰った正勝は「お父さんの軍配で勝名乗りをあげるまでがんばります」と強く誓った。勿論、それまでは家に帰らぬという固い約束で。はげしい相撲社会の毎日が始った。朝は暗いうちから夜遅くまで、先輩力士からしぼり上げられ、つらいあけくれだった。同輩力士が巡業先から故郷へ逃げ帰ったのに刺戟され、ある日彼もふらふらと父母の家の前まで来てしまったが、そこには温かい出迎えならぬ厳しい愛情のムチが待っていた。だが父から房錦という新しいシコ名をつけてもらい、彼の心は再び土俵に還った。精進の甲斐あって三十一年春場所十両で優勝、三十二年五月には新入幕、猛烈なぶちまかしと押しで“黒い弾丸”の異名をとった房錦はその夏場所、連戦連破の勢いにのって、当時三役行司に出世していた父錦太夫の軍配で土俵に登る日が近づいた。夏場所十一日目、ついに父と子は同じ土俵の人となったが、無念や、房錦は寄倒されて負けた。が、彼はそれに屈せず、周囲の励ましと祈りに包まれて、ついに、秋場所、双ッ竜との土俵に、父の軍配で勝名乗を受けることができた。

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