危険な英雄

劇場公開日:

解説

誘拐事件をタネに一勝負を挑む青年記者の生き方を衝く異色ドラマ。助監督の須川栄三のオリジナル・シナリオを「警視庁物語 白昼魔」の長谷川公之が潤色し、「目白三平物語 うちの女房」の鈴木英夫が監督した。撮影は「雨情」の中井朝一。主演は「婚約指輪」の石原慎太郎、「忘却の花びら (完結篇)」の司葉子。ほかに「あらくれ(1957)」の仲代達矢、「わが胸に虹は消えず (二部作)」の伊藤久哉、「柳生武芸帳(1957)」の三船敏郎、それに志村喬、小沢栄太郎、岸輝子など。

1957年製作/91分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1957年7月30日

ストーリー

三原準之助の長男健司が帰校の途中、何者かに誘拐された。「明朝十時、渋谷東宝前に百万円持参せよ、警察に届ければ命は保証しない」の脅迫文をもって警察を訪れた健司の姉葉子が小野塚捜査主任と会うのを見たサツ回りの記者、今村は二人の問答を窓下で聞き、思わぬ特ダネに雀躍りした。今村は、小野塚主任に単刀直入、事件の核心をついた質問を浴びせたが、主任は明朝犯人を逮捕するまで少年の命のために発表を待ってくれと懇願した。今村も朝刊の記事にするのを思い止まった。ところが、この話をドアの蔭で聞いていた者があった。二流新聞、東都日報の記者、冬木である。翌朝、「三原準之助氏令息誘拐さる!」と東都日報はデカデカと報道した。功名心にはやる冬木のやった仕事である。その日、約束の十時に、私服警官に守られた葉子が囮の札束をもって渋谷東宝前に来たが犯人は遂に現れなかった。その日の夕刊から各紙も一斉に事件を報道したが他紙を出しぬいた冬木は、持前の強引さで葉子に犯人へ訴える手記を書かせることにした。彼は特ダネで局長賞を貰い今や有頂天である。騒ぎの最中、三原家に犯人から電話がかかり警察から手を引くよう要求してきた。葉子や母の雅子は健司の存命を願い承諾した。ところが冬木は、小野塚の机から犯人のモンタージュ写真を手に入れ、彼の東都日報は写真を傘下の販売店にバラまき犯人を通知した者に賞金を与えることにした。泡よくば「東都日報誘拐少年を救出」という宣伝効果を狙ったのだ。が、効果テキ面、新聞配達の少年の通報で警察は倉庫街の岩壁近くで犯人笹井を逮捕した。健司の在りかを追求すると笹井は、新聞に自分の写真が出たので子供の処置に窮し殺したと白状した。誘拐事件にとった東都日報の態度は世論の非難を浴び、冬木は左遷されて支局へ回された。が彼は「真実を書いて何故いけないんだ」と昂然と眼をむいていた……。

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映画レビュー

5.0タイトルが主演の慎太郎を体現したある種の傍若無人なところやマスコミ批判も含めた社会ドラマ

2022年3月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

鈴木英夫特集にて 主演が何と!石原慎太郎!石原裕次郎の兄貴で作家で数々の暴言でお馴染みですの方です。 この時期まで裕次郎の映画に何本かゲスト出演しているが、主演は3本程。 そういえば三島由紀夫も主役の映画が、あったが演技はちょっと?だったが再見すると味がある 志村喬や三船敏朗(特別出演枠)や仲代達也も出演しているので、よくある添え物ではないと思う。 ネタバレあり 誘拐事件を報道する2流新聞の記者石原慎太郎。 当時は警察とマスコミとの報道協定が無い時代らしく、盗み聞きした情報を、朝刊にのせて身代金の取引を邪魔してしまい、誘拐された家に勝手上がり込み無理矢理インタビューなどの傍若無人で、警察関係者のみに配布したモンタージュ写真を勝手に掲載して焦った犯人が誘拐した少年を殺してしまう。 ひどすぎの一言。マスゴミ状態。 この映画の6年後に作られた、黒澤明の「天国と地獄」では、その辺がキチンと解決されているが、誰が犠牲にならないと変わらない想像力の欠落は、日本の専売特許か・・ ちなみに慎太郎の演技は、思ったより悪くないが、セリフの明瞭や滑舌は、やはりプロの役者と比べると劣る。あと弟ほどのカリスマ性も無い。 当時の鈴木英夫監督は、何でも職人みたいな扱いらしいが、犯罪物や非情な人間ドラマに切れ味を発揮していたらしい。 劇場に鈴木英夫監督インタビューが掲載されていたが、演技にはボロクソ。目が死んでると。 しかも自分でプロデューサーに売り込んで役を手に入れたらしい。 タイトルが主演の慎太郎を体現したある種の傍若無人なところやマスコミ批判も含めた社会ドラマで、映画自体は、当時の風景も含めて楽しめます。

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