運ちゃん物語
劇場公開日:1956年11月14日
解説
ひき逃げをしたばっかりに、恋と幸運が転り込んでくる世にも不思議な物語。“週刊サンケイ”連載の中野実の“東京無宿”より、「天使もお年ごろ (三部作)」の柳川真一が脚本を書き、「漫才提灯」の天野信が監督。撮影は「弥次喜多道中」の今井ひろし。主な出演者は、「ふり袖捕物帖 若衆変化」の堺駿二、「天使もお年ごろ (三部作)」の春風すみれ、「不知火奉行」の浦路洋子、他に見明凡太朗、十朱久雄、若杉曜子、万代峯子、真風圭子など。
1956年製作/47分/日本
配給:大映
劇場公開日:1956年11月14日
ストーリー
大阪は西北タクシーの純情運ちゃん源さんこと秋田源伍は今日もお客に乗逃げされクサリ気味である。車庫に戻ると昼夜勤務の交代時間。彼が恋しているM過剰だが美人の女運転手波江が代って乗込むが、源さんの意思表示もサッパリ通じぬまま出てしまう。処が、波江は一仕事終えた帰途、街角で若い男の片脚を轢きつぶしてしまったのに、良心がとがめ、現場に戻ったが人影一つない。翌朝、波江の顔色が悪いといぶかりつつ駐車場へ急いだ源さんは、二人連れの男に轢き逃げをきめつけられ、男一匹と我身に罪を被るが意外、とある大邸宅に導かれ、茶菓のもてなしで眼をパチクリ。屋敷の奥さんが現われ、この富豪の若い息子が数年前、自動車事故で右脚を失った上、記憶喪失症にかかっていたのを昨夜、義足を轢かれた折、記憶が蘇って大喜びという次第。源さんが案内した波江のアパートで、奥さんはお礼と五万円をさし出し、彼の心の美しさを賞める。テレた源さんは早々にオサラバ。彼が大阪駅まで流してくると丁度、中共からの引揚列車。少年航空兵時代の上官小牧閣下にめぐり合った源さんは、出迎えもない淋しげな姿に同情し車に乗せて旧友の許へ。だが前島元将軍はビルの守衛、繊維会社経営で羽振りのよい松井元副官は無礼な態度を示す。フンガイした源さんは、閣下の一人娘が大阪でバレリーナをしていると聞き、仲間の佐竹が熱を入れているレビューの踊り子小牧みどりを場末の小劇場に訪ねたが出て来たのは先日の乗逃げ娘。だが松井に追われ車へ逃げ込んだのだと判り、彼は父娘対面を、そこに訪れた波江共々説き伏せる。大阪駅頭、涙の親子。源さんは先程貰った轢逃げ謝礼の金包みを、みどりの貯金と閣下に差出すが、娘の身分を知った閣下は包みを娘にと返して列車に乗る。奮闘を誓うみどり。波江と源さんの心も、いつか一つに結ばれる。