のんき夫婦
劇場公開日:1956年10月3日
解説
風光明媚な港町の警察に勤める柔道五段の偉丈夫と、芸者上りの伝法肌の女とが、牧歌的な雰囲気の中にくり展げる心よい情緒と愛情の経緯を描く。「病妻物語 あやに愛しき」の新藤兼人のオリジナルシナリオより、「ロマンス娘」の杉江敏男が監督、「男の魂」の岡崎宏三が撮影を担当する。主な出演者は、「兄とその妹」の小林桂樹、「新婚第一課」の久慈あさみ、「鬼火(1956)」の加東大介、「女囚と共に」の淡路恵子、「へそくり社員とワンマン社長 ワンマン社長純情す」の北川町子、その他東野英治郎、左卜全、中村是好、多々良純のヴェテラン脇役陣。
1956年製作/95分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年10月3日
ストーリー
とある港町で刑事をしている花森重太郎は柔道五段という猛者。病気の妻咲枝は一人娘の安子を残し実家で養生中。就職の相談にと彼を訪れた戦友立花は、とんだ誤解から柔道五段の腕で重太郎の恋人、小料理屋“みなと”の女将友子を投げとばしてしまい、スゴスゴと引揚げる。そんなある日、やって来た実家の父は彼の品行に憤慨し、咲枝の離婚話を持出した上、安子を引取って行く。署長に相談しても友子と縁切りを迫られ、重太郎は自棄気味で警察を辞め、友子の口利きで立花と柔道の道場を開く。開場の日、咲枝死去の電報。親族会議で吊し上げとなった彼は友子の旦那に収まり、次には二人で飲屋を始める。彼の才腕を惜しむ署長は、友子と縁を切り復職しろと提案。その話を洩れ聞いた友子は行先も告げずに家出する。重太郎は奔走の末、とある芸者屋で友子を発見、安子と三人で暮そうと実家へかけ合うが拒絶される。二人は友子の朋輩芸者銀竜に相談、彼女はかねて言い寄る大滝親分に身を任せ、二人の窮状を救う。だがこの温泉街に道場を開いても弟子は皆無、アメリカで成功した叔父寛市が重太郎を訪ねて来ても、友子と別れてアメリカで道場を開けという。観念した重太郎に、友子も淋しさを押え彼を見送る。重太郎の汗の滲む柔道着に、逢いたい気持を押しかくす友子。だが翌朝、アメリカへ行った筈の重太郎が、目の前に現われる。二人は喜びの感情のままに、ひしと抱き合うのだった。