五十円横町
劇場公開日:1955年6月22日
解説
中野繁雄と原田光夫の原案から「サラリーマン 目白三平」の井手俊郎が脚本を書き、「勝敗」の佐伯幸三が監督する。撮影は「母千草」の中川芳久、音楽は「忘れないよ」の米山正夫の担当である。主なる出演者は「つばくろ笠」の三益愛子、「東京暴力団」の高松英郎、船越英二、「麝香屋敷」の蔵方しげる、「月を斬る影法師」の峰幸子、「心に花の咲く日まで」の丹阿弥谷津子など。
1955年製作/93分/日本
配給:大映
劇場公開日:1955年6月22日
ストーリー
都心をはずれた下町にある五十円横町には、のぶの店「魚やす」を中心に色々の店があるが、何んでも五十円で買えるというのが名物である。ある日、朝から酒を飲んだのぶは、酔った挙句お客と喧嘩をはじめてしまい、仲裁に入った川本巡査の腕にかみついたりした。この川本は道を聞いたのが縁でお惣菜屋の長女純子と暖い友情が湧いた。或る日、のぶは交番で前田巡査が浮浪児の照夫を保護して居るのを見て、家出したたった一人の息子洋一のことを思い浮べ他人事の様に思われず、照夫も彼女になつくので家に引取ることにした。それ以来のぶはすっかり打って変った様に仕事に精を出した。或る日「魚やす」の店先へ和服姿の女大沢英子が訪れてきたが、彼女は照夫の母で照夫を引取りたいと申出た。のぶは照夫の愛情に引かれてキッパリ断った。数日後、夏祭りの日、のぶは照夫にお祭の半天を着せお神輿かつぎにやった。その時裏の戸から洋一が人目をはばかるように入って来た。暫く話した後、のぶが一寸店の方へ立った間に洋一は居なくなっていた。前田巡査の言葉によれば、洋一はテキ屋仲間のいざこざで一人傷つけて来たというのだった。その頃英子がこの近辺にやって来て照夫を見つけ、連れ戻そうとした。そこへ洋一が現れて、本当の母子の様なのぶと照夫の姿を見て打たれたと云い、のぶのところへ照夫を返すよう英子にすすめた。やがて洋一は自首し、英子は照夫をのぶに返して淋しく旦那の許へ戻るのであった。五十円横丁は、又なごやかな日々を取り戻した。