青春怪談(1955 市川崑)
劇場公開日:1955年4月19日
解説
読売新聞連載の小説を、「女性に関する十二章」と同じく和田夏十が脚色し、市川崑が監督する。撮影は「愛のお荷物」の峰重義。新東宝との競作。主なる出演者は「銀座の女」の北原三枝と轟タ起子、「愛のお荷物」の三橋達也と山村聡、「天下を狙う美少年」の瑳蛾三智子、「月は上りぬ」の山根寿子、新人芦川いづみ等。
1955年製作/114分/日本
原題または英題:The Hope of Living
配給:日活
劇場公開日:1955年4月19日
ストーリー
美貌の青年慎一は徹底的な合理主義者で、渋谷でパチンコ屋を経営している。婚約者のバレリーナの千春は男のような肢体と気性の持主であった。慎一の母蝶子は年よりも非常に若く見える無邪気な未亡人で、千春の父親鉄也も早く妻に死に別れていた。蝶子は鉄也を一目見て好きになり、この年になって初めて恋を知るが、鉄也の方は少しもそれを感じない。慎一は船越トミという女と銀座でバーを共同経営する事になり、パチンコ屋を芸者筆駒に売ろうとするが、筆駒は店より慎一が目当てである。その上、トミも慎一を好きになり、彼と千春の仲を知ると嫉妬に燃え、赤新聞に千春が男女両性を同時に繰る異常者だと書きたてた。それに彼女をお姉さまと慕うシンデこと新子も、嫉妬から慎一に千春が女性ではないと匿名の手紙を出した。このようなショックから、千春は春の公演会で振りあてられた大役も、秋まで延期される事になる。千春は慎一に結婚を延ばそうと申し出て、父と蝶子を結ぼうとした。向島の百花園で鉄也に結婚を断わられた蝶子は、死んでしまうと池の中に歩き出したので驚いた鉄也は遂に彼女の情熱に圧倒されて結婚を承諾した。そのころシンデは喀血して入院し、千春に手紙の事を告白した。これで一切が分った千春と慎一は、鉄也と蝶子の結婚式をあげ、またいつものようにあっさりした気持で道を歩いた。