お坊主天狗 前篇
劇場公開日:1954年9月21日
解説
毎日新聞連載の小説を、「ハワイ珍道中」の八住利稚が脚色し、「犬神家の謎 悪魔は踊る」の渡辺邦男が監督、「快傑まぼろし頭巾」の三木滋人が撮影した。出演者は「犬神家の謎 悪魔は踊る」の片岡千恵蔵が「八百屋お七 ふり袖月夜」の中村錦之助と初めて顔を合わせるほか、「旗本退屈男 謎の百万両」の田代百合子、「やくざ囃子」の花柳小菊、「蛇姫様(1954)」の高千穂ひづると石井一雄、「恋風街道」の月形竜之介、「快傑まぼろし頭巾」の大友柳太朗らである。
1954年製作/91分/日本
劇場公開日:1954年9月21日
ストーリー
本所割下水の荒れ屋敷に住む番匠谷は、界隈のならず者の元締めの無宿浪人だが、実は奥州泉藩守で若年寄の本多越中守を父の仇と狙い、その為に直参一千石の録をすて、妹おしゅんと共に身を潜めているのだった。乾分を従えて浅草で剣術試合の見世物をしているうち、阪東梁八一座の女役者小染と知り合う。小染は日向高鍋藩のお家騒動に紛れて暗殺された両親の仇を狙うため女装している柳谷吉三郎という武士だった。二人は堅く助力を誓い合う。番匠谷に想いをよせる深川芸者小鶴は本多家江戸留守居役荒木均平から越中守が近々国入りする事を聞出した。番匠谷は父が殺された時の生証人伝吉をつれ、浜街道で行列に斬込んだが、駕篭の中は替玉で小染が狙う仇の一人戸原だった。その頃麻布の光法院では、美男の僧快天が寺侍大庭隼人と腹を合せ深川の芸者おもとをはじめ、多くの女を引きこんでいた。それに目をつけたのは、女房お瀧を夜鷹に出している悪党の小猿七之助だった。彼は網打ち権次と計って光法院を強請ろうとし、権次は大庭に斬殺された。荒木は主を狙う番匠谷を部下に襲わせるが失敗する。小染は愛するおしゅんと別れを惜しみつつ一座と共に旅興行に出発しようとする時、江戸出府の越中守が老中戸田山城守招待の席に、染八一座を上屋敷に呼んだ。一座にまぎれて屋敷にはいった番匠谷は、夜更けに越中守の寝所に忍入って父の恨みを晴らしたが、たちまち家臣の群にとり囲まれた。