お景ちゃんと鞍馬先生
劇場公開日:1952年6月18日
解説
製作は「相惚れトコトン同志」の小倉武志。原作は雑誌『面白倶楽部』連載の中野実のユーモア小説から「飛び出した若旦那」の津路嘉郎、「母化粧」の長瀬喜伴、「栄冠涙あり」の池田三郎のトリオが脚本を書き、「東京騎士伝」の瑞穂春海が監督、同じく布戸章が撮影に当たっている。出演者の主なものは「二つの花」の淡島千景と若原雅夫、「本日休診」の望月優子、「紅扇」の阿南純子のほか、坂本武、伊沢一郎、草香田鶴子などである。
1952年製作/81分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1952年6月18日
ストーリー
梓景子はお景ちゃんという愛称でファンの人気を一身に集めている歌手だった。雑誌記者の馬淵景八はその景子にインタビューに行って、すげなく断られた。レコード会社の引き抜きの手先と間違えられたのである。そのお景ちゃん父娘が、章八の隣家に引っ越してきた。章八の母ウサ子夫人は、父裕造が校長をしている旭高等学校の創立者の娘で、婿養子の裕造を常に尻の下に敷いていた。ウサ子夫人は謡曲ファンで、鞍馬先生というあだ名があるほど、「鞍馬天狗」を得意としていた。これがお景ちゃんの歌の練習のため邪魔されるので、ウサ子夫人の梓家に対する感情は穏やかではなかった。にも関わらず、お景ちゃんと章八とは近くに住んでつきあううちに次第に好意を持ち合うようになった。ところがウサ子夫人は旭高等学校の経営を立て直すために章八と富永絹子という令嬢との政略結婚を進めて、章八を悩ませ始めた。一方景子のマネージャー建岡は、契約金の頭はねをしている上に、彼女と結婚しようという野心を持っていたので、章八が景子に送った手紙を横取りした上、二人の間に水を差した。章八は全てが面白くなく、家を出て姿を消した。景子も章八の妹鶴子から彼の行き先を聞いて、その温泉へ後を追って行ってしまった。そこで初めてウサ子夫人と、マネージャーを信用していた景子の父は、自分たちの間違いを悟ったのであった。