網走番外地のレビュー・感想・評価
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白銀のトロッコチェイスは『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)にも引けを取りませんね。
2014年11月10日に、日本が生んだ永遠不滅の大スター・高倉健氏が83歳で亡くなってから10年。
「没後10年 高倉健特集 銀幕での再会」として11月7日(木)東映本社にある直営館丸の内TOEIさんにて19作品一挙上映。
貴重な私物も展示された贅沢な特集上映でしたね。
本日は代表作『網走番外地』(1965)と『山口組三代目』(1973)の二作品鑑賞。
◎『網走番外地』(1965)
久々に鑑賞しましたが侠客映画ではなく石井輝男監督の演出が冴えるテンポ感ある娯楽性の高い作品でしたね。とにかく橘真一(演:高倉健氏)が常に運とタイミングが悪く、事件に巻き込まれていく様は滑稽ですが当時多くの観客の共感も得たのでしょうね。
健さん以外の雑居坊のメンバー鬼寅(演:嵐寛寿郎氏)はじめ、田中邦衛氏、待田京介氏、「地獄大使」でおなじみの潮健児氏と多士済々、特に一緒に逃走する権田権三(演:南原宏治氏)のインパクトは十分でしたね。
橘の保護司妻木(演:丹波哲郎氏)との白銀のトロッコチェイスは『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)にも引けを取りませんね。
最後もハッピーエンド。当時大ヒット、シリーズ化した理由もわかりましたね。
さすがはシリーズ第1作、いい緊張感だった。健さんも若くてカッコいい...
さすがはシリーズ第1作、いい緊張感だった。健さんも若くてカッコいい!
せっかく救ってもらいながら、やはり悪に巻き込まれる展開、トロッコ激走など見どころ多数。ラスト、丹鉄とのやりとりも良し。
続も楽しみ。なぜか第1作と第2作だけ未見だった(笑)
BS12
バディものアクション映画、代表作のひとつ
てっきり「高倉健主演の任侠映画」だと思って敬遠していたが、とりあえず有名なので観てみたら、これが「なんと面白いアクション映画」だった!
当時の網走刑務所あたりの雪原が効果的に使われていて、雪山を物凄いスピードで駆け下りていくブレーキのきかないトロッコ場面などは『インディ・ジョーンズ~魔宮の伝説』に影響を与えたのでは……と思ってしまう面白さ!
刑務所の中で、高倉健が田中邦衛のモノマネして「目元を手で下げるシーン」などは笑ってしまう(笑)
この映画、「バディものアクション映画、代表作のひとつ」と言って良い。
<映倫No.13875>
おっかさん…
極悪非道の権田の一言で、そんな変わるかなぁと。ここが一本気、高倉健演じる橘の不器用なところなんだけど。保護司である妻木の懐の大きさの方がはるかに格好良い。出所まで一ヶ月というのに妹も散々心配させおいて、あっさり全快したって、まあめでたしだけど、何とかならないのものかなと。鬼寅の啖呵シーン、トロッコチェイスのシーン、線路に横たわり列車で手錠を切断するシーンは見どころ。
恋しき母よ妹よ…雪原の大脱獄!
"網走番外地" シリーズ第1作。
日本映画専門CHで2回目の鑑賞(4Kデジタルリマスター版)。
高倉健の代表作、DVDとは比べものにならない高画質での鑑賞は誠に感無量でした。鮮やかなモノクロに惚れ惚れ…
義理に厚いヤクザ者・橘真一を高倉健が好演。義父との関係が上手く行かず、極道に足を踏み入れてしまいましたが、実は母や妹のことを想う優しい男、と云う人物造形は任侠物のオーソドックスな形とは言え、高倉健が演じると人物に奥行きが出て、一層人間味が増すような気がするから不思議…
同房囚人の脱獄計画に巻き込まれ、雪原の中を逃走する羽目に…。疾走するトロッコ列車を使った迫力のチェイス・シーンや機関車に手錠の鎖を轢かせて切ろうとする場面のドキドキを煽るカット割りが見事だなと思いました。
最後が少し呆気無かったですが、ドラマとアクションがバランス良く配分されたストーリーは全く色褪せぬ素晴らしさ。
シリーズ化も納得の作品でした。
[余談]
嵐寛寿郎の気迫が凄まじい…
ナメてた爺さんが実はいちばんヤバいヤツだったパターンの元祖かも…。他を圧倒する迫力と存在感がすごかったです。
【”母と妹を想う一本気な男が、北の果ての獄で経験した事。”シンプルなストーリーだが、脱獄シーンを始め見所多き作品。ヤクザと言えども、母は恋しく、情けはあるのである。】
■網走刑務所に収監された橘真一(高倉健)と権田権三(南原宏治)。
義父とうまくいかずヤクザの世界に飛び込んだ橘は、傷害事件を起こし懲役刑となり、網走刑務所へ収監される。
したたか者の権田は雑居房を牛耳る牢名主依田に共鳴し、橘は反発を強める。
そんな中、依田たちは密かに脱獄計画を進めるが…。
◆感想
・脱獄計画を進める中で、それまで静だった男が、”8人殺しの鬼虎”(嵐寛十郎)と分かり、牢名主を含めて皆が、ビビるシーン。
ー その前にも描かれているが、どうも獄では凶悪犯程、地位が高いらしい・・。-
・橘と権田が、トロッコで脱走するシーン。それを追う、橘に気を掛けていた妻木(丹波哲郎)。
ー 迫力が凄い。ついでに言えば、酷寒の中、良く撮影したモノだと思う。高倉健は、雪が似合うなあ・・。-
・橘と権田が、自分達を繋ぐ手錠を、機関車の車輪で切るシーンも、凄い。
ー 橘は無事だったが、権田は重傷を負う。橘は逃げようとするが、権田の母を呼ぶ声を聞いて・・。-
<年代的に、初鑑賞であるが、非常に面白い作品である。シリーズ化された事も、納得である。>
歌は知ってるし、映画があることも公開の時から知ってたが、観るのは初めて
1.第一印象は、1965年公開なのに白黒映画なのか、と少しガッカリ
2.橘にとって、権田は疫病神だな
3.楽しい映画ではないが、印象深い
4.最後の締め括りが、嬉しい話で終わるので良かった
高倉健といえば寡黙で感情を出さないイメージですが、 この映画では感...
高倉健といえば寡黙で感情を出さないイメージですが、
この映画では感情を出しよく喋ります。
高倉健の違った一面を見ることが出来ます。
ストーリーは、よく出来た脱獄ものだと思いますが、
公開当時ではこれで良かったんだろうと思うが、今の感覚ではラストが少し違和感を感じてしまう。
ショーシャンクの空にや暴力脱獄と肩を並べる傑作だ
素晴らしい脱獄映画
海外の映画まで、見渡してみてもこれほどの作品はそうない
脱獄映画の要素がたっぷりと詰まっている
監獄内の日常とヒエラルキー、脱獄計画、特に鬼寅が啖呵を切るシーンは見もの
極寒の地、最果ての監獄という設定が素晴らしく活きており、雪中の逃亡、スピード感溢れるトロッコシーン、迫力満点の蒸気機関車の接近シーン、怒りに燃える追撃者
撮影も白黒フィルムの陰影を利点に変えてみせている
劇中の台詞にあるとおり、腐れ縁だと手錠を表現するように、断ち切ろうとしても引きずり戻されてしまう、どうしようもない悪人の世界を繋がれた手錠に象徴させる
フィルムノワールの味わいも濃い
そして微かなホモセクシャルの香り
その上、主人公の生い立ちから、背景をフラッシュバックさせていきながら、ラストシーンに収斂していく脚本も見事
ショーシャンクの空にや暴力脱獄と肩を並べる傑作だ
日本映画のレベルの高さを証明するものだ
決して高倉健だけの映画ではない
大ヒットしたのも当然の事だ
その上、団塊の世代の人々に取っては高卒で就職した頃の作品になる
社会人となって厳しい世間の荒波の中に放り込まれて息が詰まる思いを網走番外地に重ね合わせたのだろう
時流にも合っていたのだ
これが有名な網走番外地かと思いつつ、ストーリーは二の次で若かりし高...
これが有名な網走番外地かと思いつつ、ストーリーは二の次で若かりし高倉健と丹波哲郎を楽しんだ。
こんなものか・・・
任侠ものの名作のため、いつかは避けては通れないだろうと思い、アマゾンプライムで見た。時代もあるとは思うが、当時の人はこの映画のどこに惚れ込んで見に行ったのだろう。ギャグも失笑系だし、ラストもゆるゆる。シリーズ全部見ようと最初は思ったが思いとどまった。
昔の人の演技にはエネルギーを感じます。
現代の脱獄映画と違い映画自体現実っぽくそれが新鮮で高倉健と言いかなり良かったです。意外と無計画な脱獄映画も良いものです。いっさい脱獄のテクニックはありません。根性のみです。それでも脱獄映画としても成功だと思います。ちょっとヤンチャな高倉健さんの演技が観れますし、他の俳優さん達も個性があって素晴らしかったです。
これが任侠
高倉健さんは『鉄道員』のイメージがギリギリあるぐらいの世代ですが、亡くなる前に観ておくんだったなあと思いつつ観てみました。晩年の寡黙なイメージとは違う、少しヤンチャな若き日の健さん。
前半の刑務所内でのパートでは若干デフォルメされた男臭さや飢えた感じが好きです。すごく態度はデカいんだけど、ポイ捨てされた吸殻には飛びついて、焚き火で燃やして吸うところとか。あのシーンのどアップの顔の幸せそうなこと。後半の刑務所外パートは運命共同体の囚人とのやり取りや回想を通して健さんの過去が浮かび上がったり、アクション的な見せ場があったり前半とは全く異なる楽しみがあって、飽きずに観ることができました。
任侠映画などほとんど観たことがなかったのですが、ラストのくだりでは「なるほどこれが任侠か」と妙に納得してしまいました。石井輝男監督の他の作品を観てみたい。
石井輝男
高倉健、田中邦衛、嵐寛寿郎。高倉健の妹役のブスさ加減が生々しい。寒さしのぎにさすり合ってると、手錠で繋がれた相棒がなつかしいなぁーシャバのスケがよーとか言いながら高倉健に擦り寄るシーンが石井輝男っぽくて素晴らしい。
ろくでなしでお人好し
高倉健をスターダムにのし上げたヒットシリーズ第1作目。1965年の作品。
僕の世代だと高倉健は寡黙で真面目な男のイメージなので、本作のようなアウトローは結構新鮮。
おおまかなあらすじは…
北海道網走の刑務所に送られたヤクザ者・橘真一が、病弱の母に会う為、脱獄しようとする。
囚人仲間から脱獄計画に誘われる橘。
一方、親身に目をかけてくれる保護司が仮釈放に奔走。
しかし、もたもたしていたら母にもう会えなくなるかもしれない。
迫る脱獄計画決行の日。
その時…!
主人公・橘の過去が時折挿入される。
ろくでもない人生を送ってきた橘。
「俺は馬鹿野郎だ!」
心底腐りきってる訳じゃない。ろくでなしなりに、仁義とケリをつける。
腰が低そうに見えてその正体は…!? とあるワンシーンで、老囚人役の嵐寛寿郎が凄みを見せ付ける。
保護司役の丹波哲郎も人情味のある好演。
クライマックスは、さながら和製「手錠のまゝの脱獄」。
不運な事に、脱獄計画張本人の囚人と手錠で繋がれたまま逃走するハメに。
大雪原の脱走、トロッコ・アクション、走り迫る列車を利用しての手錠切断…。
歯切れ良く、ハラハラドキドキ。
石井輝男監督の演出も快調。
大分前に一度見てはいたが、ほとんどうろ覚え。
哀悼の意を込めて実に久々に見たのだけど、面白かった。
そして言うまでもなく、高倉健の男臭さに惚れ惚れ。
ムショ暮らしの前の幼年期の話が興味深い
総合65点 ( ストーリー:70点|キャスト:65点|演出:55点|ビジュアル:55点|音楽:65点 )
時代背景もあるし当時の人もこういう人が多かったのかもしれないが、しゃべり方とかが古い昭和の映画という演出で、特に前半は任侠もの演歌の世界そのまんまというのは古さを感じる。原画の再生速度が速いみたいで、それにつれて科白も早くて何を言っているのか聞き取れない部分が時々あるのにはまいった。白黒映像もあって観辛い・聞き辛いという点では質が低い。
だが見ているうちに、高倉健演じる主人公の家庭環境から今までの道程がわかってくると面白くなってきた。刑務所の中の話や脱獄のことよりも、昭和初期から中期の貧困家庭の様子が一番興味を持てた。それをうけて、彼の送る刑務所生活がより重みを増した。囚人みんなそれぞれが事情を抱えて生きているというのがわかる。
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