くノ一化粧
劇場公開日:1964年12月12日
解説
山田風太郎原作“外道忍法帖”を「くノ一忍法」の倉本聰と中島貞夫それに金子武郎が共同で脚色、中島貞夫が監督した忍者もの。撮影もコンビの赤塚滋。
1964年製作/90分/日本
原題または英題:The Spying Sorceress
配給:東映
劇場公開日:1964年12月12日
ストーリー
慶安四年、由井正雪、丸橋忠弥を中心にした幕府転覆計画は失敗に終った。老中松平伊豆守は由井正雪の動きを早くから察知し、その資金源を、老忍者服部半助に探らせていた。その結果、豊臣家が遺した巨億の財宝がかくされていることを知った。そして、その在りかを解く鍵は、豊臣家の恩恵を浴した大友忍者六人のくノ一が胎内に秘めた六個の鈴であった。鈴を強奪せよという伊豆守の命を受けた、天草扇千代を首領とする、道忍、狂念、兵部、鞭馬、水阿弥ら六人の鍔隠れの忍者は、くノ一の住む長崎に向った。しかし彼等の動きは、早くもくノ一の首領天姫の許にも伝わった。天姫を中心に、もみじ、お志乃、お珠、夕心尼、お貞の六人は鈴の死守を誓った。お志乃は夢幻琴の音、密霞の術を使い篝火兵部を倒しながら、扇千代のために術を破られ、忍法山彦によって自らも命を絶った。しかし扇千代も天姫の髪縫いの術によって盲目になった。一方鍔隠れ忍者の逗留する丸山遊廓を襲ったお貞は、逆に鞭馬のおとこ化粧の術で殺され鈴を奪われた。さらに鞭馬は、お貞に扮し、くノ一の本拠持仏堂に乗りこんだが、正体を見破られ、お珠の先祖返りの術にかかり、赤ん坊になってしまった。だが、お珠も、一寸した油断を、かけつけた水阿弥につかれ殺された。しかし、その水阿弥にも天姫の術がかかり、扇千代の姿が幻覚で裸身のくノ一に見えるのだった。抜討ちに切りかかる水阿弥を扇千代の刃が切って捨てた。部下を斬り良心の苛責に悩む扇千代は、惚れた遊女伽羅との情事に我を忘れた。そんなうちにも、両者の争いは苛烈で、天姫と扇千代を残して、次々と倒れていった。残った天姫は奪われた鈴を取り返そうと、伽羅の肉体を借りて扇千代に近づいた。が、女の本能は抱かれた扇千代の胸の中で、初めての喜びにふるえた。くノ一の宿命と、女の真の喜びが激しく交錯した。が、突然、扇千代が求めているのは自分ではなく伽羅であることに気づき、取返した鈴をも投げ捨て、扇千代の叫ぶ声を後に悄然と去っていくのだった。