ぐれん隊純情派

劇場公開日:

解説

藤原審爾の同名の原作を増村監督、「温泉あんま」の小滝光郎が脚色、「嘘(1963)」の増村保造が監督した社会劇。撮影は「赤い水」の小林節雄。

1963年製作/93分/日本
配給:大映
劇場公開日:1963年7月27日

ストーリー

食いつめやくざのチンピラ銀之助、松、豊たちは、旅役者の銀三郎の父・中村妻三郎が死んだことを知り、渡りに船と一座に乗り込んだ。銀之助を座長に生まれ変った中村座は、元歌舞伎役者の雁右衛門をかつぎ出し、都営住宅の一室で勢揃いした。稽古を続けるうち松、豊も最初の金もうけの企みはどへこやら、今は芝居一途に真剣に取り組み、雁右衛門も死場所中村座と決めた。スタートは順調に進み炭坑町、温泉町でも中村座の評判は上々、明るい空気が楽屋中にみなぎった。だが、一座の好評を流れきいた興行師の大ボス、大森の中入れを銀之助がすげなく断わったことから、悪らつな妨害を受けるようになった。しょげきった一座も豊が工面してきた金で生気を取戻し、上州のある町にやって来た。その夜、病気で倒れた爺やを見舞った銀之助は病院長の一人娘雅子に一目惚れ。一方、土地でいい顔のお梅ばあさんが大森にしめだされた一座に同情、その骨折りで開幕することが出来た。ところが、町のボスで病院の顧問弁護士山下が暗躍し、このため興行は難航、二人の仲はさかれる破目となった。一座は堅く結束して町のボスと闘い、山下の行状と銀之助・雅子の純愛を取り入れた「上州夜話」を上演した。この熱演の反響は町の青年たちの強い支援を受け、町の世論は沸き立った。結果は雅子の父の心を動かし、警察署長の協力もあって、銀之助は父妻三郎に劣らぬ座長にまでのし上り、雅子ともめでたく結ばれることになった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0愚連隊が旅芸人に

2022年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

金に困った愚連隊が、亡くなった父のやっていた旅劇団を引き継ぐことに。
勿論、演技なんてからっきしだが、そのうち様になってくるのが可笑しい。
とても楽しい映画だ。

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いやよセブン

4.0人情家のチンピラとあばずれ達が大衆演劇界に殴り込み!! 芝居か、女か・・・いや、両方だ!の傑作人情喜劇映画

2022年10月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 巨匠増村保造監督による傑作人情喜劇で、ベテラン職人監督の手によるとご都合主義もこんなに快く楽しめるものかと感服した次第です。俳優陣についても当時の人気実力伴った若手とベテランが贅沢にキャスティングされ、イメージ通りあるいは意外な役どころで出演されていて楽しませてくれました。
 冒頭で頭が逮捕されたことによる弱体化で他の組に乗っ取りを受ける暴力団の様相が描かれますが、その下っ端構成員だった主役の若者三人の人となりが端的に描かれるくだりがますもって巧いです。"金をやるから相手の組の組長を刺してきてくれ"と女将さんに懇願されるもしり込みする豊(千波丈太郎さん)、恋人と結婚したいが持参金でカッコを付けたいものの常に金欠でうだつの上がらない松(藤巻潤さん)、そして大衆演劇の花形を父に持ちながら継母とその情婦が実質切り盛りする座がイヤで飛び出した銀之助(本郷浩二郎さん)・・・それぞれ堅気の生き方は出来ないもののかといって極悪にも染まれない気の良い若者たちで、のっけから感情移入させてくれます。
 そして隠居状態だったものの彼らの荒々しくも一旗揚げてくれそうな意気に乗せられて芝居の指導をしてくれる雁右衛門こと二代目中村鴈治郎さんが全編通して素晴らしい貫禄を見せてくれます。
 また、彼ら一座の父親役が鴈治郎さんなら、母親役は物語の後半舞台の上州の興行の顔役お梅さんことミヤコ蝶々さんでしょう。町のドンである病院長とその顧問弁護士からの圧に屈せず若い彼らの心意気に味方する気骨ある老婆役はまさにうってつけでした。
 若い男女がその道の重鎮たちの卑劣な嫌がらせにもめげず、助け合って苦難を乗り越えて笑い合う姿は実にベタながらそれだけに普遍的な朗らかさとエネルギーを感じさせます。一座の金銭難を打破するために上京して組長を刺してまで皆のために金策した豊の冒頭との変わりように胸が熱くなります。60年代前半ということでそろそろテレビが娯楽のメインストリームに台頭してくる頃で現実的には大衆演劇は斜陽期だったのではと察しますが、敢えて往年の娯楽の王道を若者の夢の受け皿としたことでリスペクトを示したのかもしれません。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

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