空の下遠い夢

劇場公開日:

解説

「ひとりぼっちの二人だが」の熊井哲が脚本を執筆、「激しい河」の牛原陽一が監督した青春ドラマ。撮影は「危いことなら銭になる」の姫田真佐久。

1963年製作/88分/日本
配給:日活
劇場公開日:1963年2月24日

ストーリー

十七歳の夢を海外雄飛にかける石川は、得意のドラムでジャズ喫茶をかせぎまくって資金を貯めた。バンド仲間の応援と兄捷夫、フィアンセ伸子の大きな愛情も助けてくれた。そしてついに彼は英国の豪華客船チトラル号に乗り込むことが出来た。船の中は一つの外国であった。シンガポールに働きに行く山村少年、父が英国外交官で、その任地インドに一人旅する美しい少女真理。大の日本ビイキで観光旅行の帰りというジュマ氏など。意気投合した石川と山村の若いエネルギーは広い船内を駆けめぐり、なぜか憂いを含んだ真理の表情も次第にほぐれていった。船は元旦の香港へ碇泊。ルームボーイのリーに案内されて若い三人はドライブとしゃれこんだ。美しい海岸線、国境の彼方に浮かぶ中共本土、夢のような夜景、明るく弾む一同のかげにリー兄弟の悲しい別れがあった。両親が中共にいる兄弟は独力で生きなければならず、また数年は会えないのだ。船は進んで赤道直下のシンガポールへ着いた。山村は福田老人の経営する商社へ、真理らはホテルへ。翌日、石川は真理から意外なことを聞いた。彼女は英国籍だがみなし児で、このチャイナタウンでいまの父にひろわれたのだという。これを聞いた山村は、日本人墓地の中に彼女の母の墓があると二人をひっぱって行った。するとそこには花を供える福田の姿があった。みつめあった真理と福田は一瞬、ハッキリと父娘であることを認め合った。抱き合う二人を見て、石川も山村も泣いた。美しい夕やけ空の下、福田の家にはシンガポール在住の日本人たちが集って力強い歌声を響かせていた。出発の時が来た。再会を約してインドへ帰る真理、これから東南アジアをまわる石川、不屈の信念燃やす山村、リー……若い希望が世界をかけめぐっている。

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