風と雲と砦
劇場公開日:1961年2月22日
解説
井上靖の原作を、「猟銃」の八住利雄が脚色し、「忠直卿行状記」の森一生が監督した、戦国時代を背景にした時代劇。「花くらべ狸道中」の本多省三が撮影した。
1961年製作/92分/日本
配給:大映
劇場公開日:1961年2月22日
ストーリー
武田信玄が天下に号令せんと徳川領になだれこんだ戦国の世。野心に燃えた三人の青年・左近八郎・山名鬼頭太・俵三蔵が徳川の雑兵の中にいた。最後まで交戦を続けた八郎は城主設楽貞通の身替りとなって武田方に捕われた。だが、武田方の客分で異様な雰囲気を持つ安良里姫に命を救われ、徳川方の機密を探るよう命じられた。その妖しい魅力につかれた八郎は捕虜交換の中に混じり徳川方に帰りその機密を探って安良里にしらせていた。百姓出身の俵三蔵は腰元みゆきに思いをかけているが、落城とともに脱出した。彼は野武士の群に入るが、野武士の首領の情婦ひめは逞しい三蔵に惚れこみ、首領を倒すことを命じた。槍の三蔵と異名をとる彼は首領を倒してその地位についた。石占いの命ずるままに身を処す山名鬼頭太は、みゆきの心が八郎にあると知って、落城するや武田方の捕虜となった。同じく捕われて武田方に来ていたみゆきと再会したものの、彼女の心が依然として八郎にあるのを知って、機会あれば八郎を亡き者にせんとしていた。安良里の助言で出世した八郎であった。が、彼女が徳川方の間謀と知って愕然とするが、すでに彼女の魅力の虜となっている八郎にはどうしようもなかった。安良里も一途な八郎の愛情に女として目覚め、恩讐を越えて二人は固く結ばれた。だが非情な戦国の掟は残酷にも二人を硝煙の中に殺してしまった。鬼頭太はうつろなみゆきの体をだきしめ、大将になろうとの野望も捨て戦場から消え去って行くのだった。三蔵もひめの一途な愛情に引きずられ、おのれの生き場所を他に求めて硝煙くすぶる戦場を遠ざかって行った。だが、動乱にあけ暮れる戦国である。次の若者達がまた野心を抱いて現われ、そして、戦場も他の場所へと移って行くのだった。