団地妻 (秘)出張売春

劇場公開日:

解説

日活ロマン・ポルノの“団地妻”シリーズの一篇。高原の避暑地を舞台に、アバンチュールを味わった団地妻が、売春グループに引きずり込まれる姿を描く。脚本は「女教師 童貞狩り」の鹿水晶子と村田晴彦の共同、監督は「好色演技 濡れ濡れ」の白井伸明、撮影は「嗚呼!! 花の応援団」の山崎善弘がそれぞれ担当。

1976年製作/70分/日本
配給:日活
劇場公開日:1976年10月9日

ストーリー

バカンスの季節。団地妻の雨木良子は子供の透を連れて、山中湖へ避暑に出かけた。夫の次郎と保養所で落ち合う計画だった。隣人の桐子が、ちょうど山中湖へ行くので、良子もその誘いにのった。豪華なムードで甘美なアバンチュールを楽しんでいる桐子たちのグループに、良子も自然と開放的な気分になっていった。ドンファン・タイプの京二のスマートなエスコートは、平凡な毎日に倦怠気味の良子を、いとも簡単にベッドへ運んだ。微妙にはいまわる手。甘い耳元のささやき。おんなの芯は赤く硬直していった。嵐の後に、静かにくゆらす大麻の煙。すべて初めての危険で甘い蜜だった。良子は、その甘い経験をその場限りの事として、夫の待つ平凡な人妻に、再び戻ろうとした。だがその頃、夫の次郎は出張といつわって、若い愛人の美香と痴戯にふけっていた。美香と次郎の間には、妊娠の問題が立ちふさがって、二人はうまくいっていなかった。雨木夫婦の苦い想い出を残す夏の休暇であった。そんなある日、良子は桐子からの報告で、夫の浮気の事実を知って、ショックを受けた。だが、さらに大きなショックが良子を襲った。良子のもとに、京二とのセックスを映した写真のネガが送られてきたのだ。それは、京二を含めた桐子たちのグループの、最初からの罠だったのである。良子は、写真をネタに京二から脅迫された。こうして良子は、組織的な売春グループに、夫に知られたくないためだけに、引きずり込まれていった。札束が良子の白い裸身に投げつけられる。無言で抱かれる良子の無表情な顔に、涙がとめどなく流れた。だが、その表情も、肉体を走るめくるめき官能にゆらぐのだった。夫の次郎と美香の愛の破綻は、憎悪に近いものに変わっていった。中絶を強要する次郎を、美香は断固として拒絶した。それだけではなく美香は、良子から次郎と息子まで奪おうとした。良子の売春の事情を知らない次郎は、ただ悔恨の想いを噛みしめるのだが、良子の胸の内はさらに複雑にゆがんでいった。息子の透は、極端に口をきかなくなった。父のことも、母のことも、すべて知ってしまっていたのだ。引きちぎられた透の夏休みの絵日記に、良子は愕然とした。「妻としても、母としても失格だった。わたしが、すべてを解決します。あなたへの、透への、最後の償いとして」。置き手紙を残して良子は、山中湖に浮かぶボートの上で、美香と最後の話し合いをした。沈黙ののち、ボートは大きく揺れて横転した。湖水には、静かなさざなみだけが残っていた。

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