愛の物語
劇場公開日:1950年2月14日
解説
「ベデリア」「妖婦」のマーガレット・ロックウッド、「キャラバン」「魔法の楽弓」のスチュワート・グレンジャー、「愛の海峡」のトム・ウォールズ、「妖婦」「情炎の島」のパトリシア・ロックが主演する映画で、J・W・ドロウベル作の短編小説から「灰色の男」と同じくレスリー・アーリスとドリーン・モンゴメリーが共同して脚色し、「妖婦」「灰色の男」のレスリー・アーリスが監督し、「魔法の楽弓」の監督バーナード・ノウルズがその撮影技師時代に撮影した。映画中に演奏される「コーンウォール狂想曲」はヒューバート・バス作曲になり、ハリエット・コーンがピアノ独奏し、管絃楽はシドニー・ビーア指揮のナショナル・シンフォニー・オーケストラが演奏する。助演者はレジナルド・パーデル、モイラ・リスター、ヴインセント・ホールマンその他である。
1944年製作/113分/イギリス
原題または英題:Love Story
劇場公開日:1950年2月14日
ストーリー
女流ピアニストのリッサ・キャンベルは、演奏であるとともに作曲の才を認められた。イギリス楽壇の寵児であったが、ロンドンを去って、コーンウォールの風光明媚な山中に単身旅した。彼女は心臓が弱って余命いくばくも無いと専門医に宣告された失意の身の上である。彼女が泊まったホテルには鉱山技師トム・タナーが泊り合せていたが、彼は廃坑となっている鉛鉱山を再採掘するために来ていた。またリッサはキットという奇妙な青年に会った。彼も技師であるということだが、若いのに世をすねてでもいるのか皮肉な言動が目に立った。それが妙にリッサの気にかかり不安に思われた。それが恋というものであろうか。併しキットは何も知らぬのか冷然たる態度であった。ホテルの近くに住むジューデイはキットの古い友達で、屋外劇場を催そうと奔走している若い娘である。彼女だけはキットの秘密を知っている。キットはイギリス空軍将校で空中戦に負傷したため、視神経を害した傷夷軍人で、遠からず失明する不幸な男である。彼を愛しているジューデイは美しいリッサの出現を喜ばず、キットに手術も受けさせないで結婚しようかと考えはじめた。手術はキット自身もためらっている。成功率は百に一で、失敗すればただちに盲目となる危険があるからだ。かくとは知らないリッサはキットの態度を理解しかねた。トムが採掘事業を手伝うようにすすめた時、キットがニベもなくことわったからである。失望したリッサはコーンウォールを去ろうと決心したが、折りしも鉱山に事故が起り、トムは鉱夫等と共に生きうめとなった。キットは救出作業に成功し、一同は助けられた。リッサが喜んでキットの働きを賞讃しようとした時、彼は相手になろうともしなかった。それでもリッサは去るに望んでキットを訪ねずにはいられなかった。満月を浴びてキットは一人で点字を覚えようとしていた。リッサははじめてキットの秘密を知った。またジューデイが手術をさせまいとしていることを知った。リッサはジューデイを訪ね、手術を受けさせるべきだと力説した。手術が成功したら身を引くと誓ったので、ジューデイはようやく同意した。手術は百に一つの成功であった。リッサはロンドンへ去った。手術成功の喜びにジューデイはキットに接吻した。その接吻により彼はジューデイの愛を知った。そして彼女はキットの心がリッサにあることを知った。リッサが余命長からずと聞いてもジューデイの心はやわらがず、二人は婚約した。リッサは演奏旅行に赴き、最後の努力をかたむけたピアノ協奏曲「コーンウォール狂想曲」は成った。その発表演奏会がロンドンのアルバート・ホールで催された時、キットは軍服姿で聴衆の最前列に立っていた。真の愛に目覚めたジューデイが自らの恋をあきらめてキットをリッサにゆずったのであった。お互に明日の命のない二人は、その恋愛を完成すべく結婚した。
スタッフ・キャスト
- 監督
- レスリー・アーリス
- 脚色
- レスリー・アーリス
- ドリーン・モンゴメリー
- 原作
- J・W・ドロウベル
- 製作
- ハロルド・ハス
- 撮影
- バーナード・ノールズ
- 美術
- ジョン・ブライアン
- 音楽監督
- ルイス・レビ
- 編集
- チャールズ・ノット
- 作曲
- ヒューバート・バス
- 指揮
- シドニー・ビーア
- 音楽演奏
- ナショナル・シンフォニー・オーケストラ
- ピアノ演奏
- ハリエット・コーエン