女王様御命令
解説
エルンスト・ノイバッハ執筆のストーリーからパウル・フランクとビリー・ワイルダーが脚本を組立てたオペレッタ映画で監督は「悲歌」「ニーナ・ペトロヴナ」のハンス・シュワルツ、撮影は「神々の寵児」「嘆きの天使」のギュンター・リッタウが当たった。作曲は「悲しい歌」「ガソリン・ボーイ三人組」と同じくワーナー・ハイマンの手になるもので主なる出演者は「ガソリン・ボーイ三人組」「愛国者」のヴィリー・フリッチ、「愛の犠牲」のケーテ・フォン・ナギ、「三文オペラ(1931)」のラインホルト・シュンツェル、パウル・ハイデマン、パウル・ヘルビガーである。
1931年製作/ドイツ・ドイツ合作
原題または英題:Ire Hoheit befiehlt
ストーリー
陽気でキレイで若いお姫様のクリスチーネは儀式張ったお邸の生活振りにすっかりくたびれて盛んに夜遊びを始めます。そして毎木曜、女中だの馬丁だの給仕だののやる平民舞踏会が殊のほかお気に召したものと見え、踊り子におばけになって盛んに出没なさいます。或晩の事です。踊りのお相手になったお菓子屋の番頭さんが大変お気に召したようです。でも身分が身分ですからサッと引上げてお邸へお帰りになりましたが、どうもお姫様の御様子が不信と宰相殿が探偵に尾行をさせていたので翌朝は起抜けにお姫様は宰相殿から色々とお説教を聞かされます。しかしお姫様は宰相なんぞの言葉に耳を貸そうともしません。すると下の方でも若い近衛仕官のコンラッディ中尉が中隊長の大尉から昨夜帰営時間が遅れたと散々遺責を食っています。お姫様は自分の説教よりはどうやら仕官の遺責の方に興味があるらしく見えました。その筈コンラッディ中尉は確か昨晩の菓子屋の番頭さんでしたから。散々お叱りを食った中尉は不思議にもその晩大尉に昇進しました。昨晩ホヤホヤ大尉殿はいつかの踊り子に会って一緒にスケート場で散々遊びました。そして翌朝は大隊長の少佐殿から職務怠慢で例の通りお小言を食いました。するとその晩の内に少佐に昇進です。誠に不思議な国で怠けると却って昇進するらしいんです。一方宰相殿はどうもお姫様の悪友であるらしいお菓子屋の番頭なる男の正体を知ろうと部下を督動しましたが失敗してばかりいます。仕方がないからこの上はお姫様の気を帰るより仕方が無いと宰相殿は近衛仕官の中から一番の美男を副官としてお姫様の側へ差上げることにしました。その白羽の矢を立てられたのがコンラッディ少佐です。宰相はこの件で態々コンラッディ少佐を訪問することになりましたが丁度その時踊り子になったクリスチーネ姫が居合せたのです。驚いたお姫様は巧みにその場を胡魔化して隣室に隠れて様子を覗いています。ところがお話が副官という大変な問題なので、お姫様はせっかくの面白い遊びがオジャンになるところか、コンラッディを昇進させてそれから、という計画もフイになりそうなんで宰相が帰るや否や直ぐコンラッディにどうかお姫様の副官になるのは止めにしてくれと頼みました。しかしコンラッディがいくらその気でも宰相殿の命令です。どうすることも出来ません。翌朝、近衛少佐の礼服に身を固めたコンラッディが恭しく名誉連隊長であるお姫様の前に進みましたが途端に真っ赤になったかと思うと忽ち真っ青になって御前から退出せねばなりませんでした。何しろ散々友人扱いにした踊り子が姫君だったのですから。翌朝、彼は近衛副官少佐から一足飛びにもとの平中尉に戻りました。副官にさえならなければ大将までは直だったんですが。宰相の方では父君ロイヒテンシュタイン大公爵の計画通り近くロイヒテンベルクの若殿をお婿さんにする準備を着々と進め今日はいよいよ結婚式の大舞踏会という段取りになりました。ところがこのロイヒテンベルクの若殿は頗る変り者で大昔風の女性のほか一向興味がないときてるんです。ですからいよいよワルツが始っても踊りなど真っ平とお姫様のお相手をしてくれません。誰か最初のワルツの相手はと席上を見渡したお姫様の目はやっぱり隅ッこに控えているコンラッディ中尉の上に落ちました。ゆるやかな楽の音につれて二人は甘いワルツを踊っている中に大ホールから廊下へ、廊下から玄関へ、玄関には馬車が待っていました。そしてお姫様はしっかりコンラッディの首に噛りついて宮殿を後に一散に馬車を走らせたのでした。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ハンス・シュワルツ
- 脚本
- パウル・フランク
- ビリー・ワイルダー
- 原作
- エルンスト・ノイバッハ
- 製作
- エリッヒ・ポマー
- 撮影
- ギュンター・リター
- セット
- エリッヒ・ケッテルフート
- 音楽
- ウェルナー・R・ハイマン