太陽の帝国(1956)

解説

十五世紀の初め南米ペルーを中心にアンデス文化の全盛時代を築いたインカ帝国(インカとは“太陽の子”の意味)の遺跡、三万キロの領域をカメラに収めた長篇記録映画。撮影は一九五五年十月からペルーの首府リマに探検隊本部をおき一行八名により八カ月にわたって行われた。製作スタッフは同じイタリア長篇記録映画「失われた大陸」の人々が大部分を占めている。すなわち監督は、前に技術監督をつとめたエンリコ・グラスと撮影監督のマリオ・クラヴェーリ、クラヴェーリは今回も撮影監督を担当、彼の下に、前作と同じくジャンニ・ラファルディ、フランコ・ベルネッティ、それにウバルド・マレリの三人が撮影に当っている。音楽も前作同様フランチェスコ・ラヴァニーノ、編集も同じくマリオ・セランドレイ。解説台本は「青い大陸」の解説を担当したジャン・ガスパレ・ナポリターノ、日本語版は宇野重吉が解説した。

1956年製作/イタリア
原題:L' Impero del Sole

ストーリー

映画は、海抜五千メートル以上のアンデス山脈の飛行撮影に始り、二千七百メートルの山頂に隠れた謎の石造都市、マチュ・ピチュの遺跡を探る。次いで世界最高度にある大湖、チチカカの湖上に住む最古のインディアン種族ウルスの生活と風習、アンデス山頂のインディアン隊商の生活、彼らのカーニヴァル風景、アマゾン河を下る筏師夫婦の原始的出産、大西洋岸のアマゾン河口に至るまでの冒険、アマゾン流域のジャングル地帯に住む未知のインディアン、ヤグア族のお産と成人式などがくりひろげられる。さらにペルーの太平洋岸に無尽蔵の肥料を誇るグアノ(鳥糞)の島々、四千万羽にのぼるグアナイ、ピケロ、ペリカン、トドの生態。グアノを採掘する黒人季節労働者の熱狂的ダンス。パラカ(砂漠の熱風)の吹きすさぶ大砂漠地帯。インディアンの象徴たるコンドルと、征服者スペイン人の象徴たる猛牛との格闘などが描かれる。そして再びアンデス山頂に登り、勝利を得たコンドルをインカ帝国の君主たる太陽に向って解き放つシーンをもって終る。

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