巴里野郎
劇場公開日:1956年9月11日
解説
花の都パリを背景に、お転婆娘と警察署長の恋という洒落た趣向の風流明朗劇。短篇監督出身で一九五〇年度ルイ・ルミエール新人監督賞を受けたピエール・ガスパール・ユイの、日本へのお目見得作品。原案は「歴史は女で作られる」の大衆作家セシル・サン・ローラン、脚色はジャン・オーレルと「忘れえぬ慕情」のアネット・ワドマン(台詞も担当)、撮影は「偽れる装い」のジャック・ルマール、音楽は「空と海の間に」のジョルジュ・ヴァン・パリス。主題歌“パリ・カナイユ”を名シャンソン歌手カトリーヌ・ソヴァージュが特別出演して歌っている。出演は「恋路(1951)」と同じくダニー・ロバン、ダニエル・ジェランのコンビに「われら巴里ッ子」のマリー・ダエムス、アルゼンチン出身のティルダ・タマール、新人フランソワ・ゲランの他「女囚と共に」の谷洋子など。
1955年製作/フランス
原題または英題:Paris-Canaille
配給:ユニオン=NCC
劇場公開日:1956年9月11日
ストーリー
ロンドン発の旅客機がジュネーヴ空港に着陸し、国際的な大スター、グローリア・ベンスン(ティルダ・タマール)が降り立つ。寄宿女学校にいる娘ペニイ(ダニー・ロバン)に会いに来たのだ。だが十九になる彼女はここが退屈で仕方がない。暑中休暇にパリ旅行が計画されていると知り、やっと納得する。しかし名所古蹟の数々も一向にペニイの興味を惹かない。その代り街中で接吻している恋人達やマネキンの衣裳にボウッとしてしまう。ちょいとハンサムな青年に出会ったペニイは、早速色眼を使ってランデヴーの交渉成立。その夜、学友らとジュネーヴへ戻る筈を、列車から抜け出してパリに踏みとどまる。青年アントワーヌ(ダニエル・ジェラン)は、実は下町界隈の警察署長で若くて独身、しかも美人には目がないというサムライ。とも知らぬペニイは、連れ立って凄く下町気分の出る所で食事し、とどの詰り、アントワーヌのアパートで二人は接吻。「接吻ってこんなに楽しいものとは知らなかったわ」というペニイに、慌てたアントワーヌは自分の身分を白状するがかえって居すわられてしまう。翌朝、母親の依頼から発せられた捜査指令で、ペニイが失踪中の未成年者と判って二度ビックリ。婚約者気取りで散歩に出たペニイを捕まえ、手錠をかけて連行駅頭で校長先生に引渡す。列車が出てホッとしたのも束の間、又もやアントワーヌの背後からペニイが現われる。進行中の列車から飛び降りたらしい。処置なしとばかり騙して警視庁へ連行、証明書をみるといつも年をごまかすグローリアが娘の年まで偽って十九を十七と申告。結局、未成年者扱いはできず、ペニイは天下晴れてパリ散歩。どうやらアントワーヌを好きになってしまったのに気づく。彼が愛人クロード(マリー・ダエムス)をアパートに招くと、そこにペニイも押しかけてテンヤワンヤ。仕方なく二人を連れてキャバレーに出かけるアントワーヌ。クロードと踊る彼を見て、ペニイは司会者の誘うまま“素人ストリップ・コンクール”に出演。驚いたアントワーヌは、彼女を連れ出そうとして大騒動。ノサれてしまったアントワーヌを、ペニイはアパートへ連れて行き介抱してやる。翌朝、パリに着いたばかりのグローリアから娘の安否を気遣う電話。アントワーヌは傍らで微笑しているペニイを見ながら返事する。お嬢さんは結婚されます。この僕と……。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ピエール・ガスパール=ユイ
- 脚色
- ジャン・オーレル
- アネット・ワドマン
- 原案
- セシル・サン・ローラン
- 台詞
- アネット・ワドマン
- 撮影
- ジャック・ルマール
- 音楽
- ジョルジュ・バン・パリス
- 歌
- カトリーヌ・ソヴァージュ