穴(1960) 劇場公開日 1962年4月7日
解説 「現金に手を出すな」などで知られるフランスの名匠ジャック・ベッケルの遺作で、1947年にパリのサンテ刑務所で実際に起きた脱獄事件を題材に撮りあげた傑作クライムサスペンス。事件の実行犯の1人であるジョゼ・ジョバンニの小説を原作に、脱獄計画から実行に至るまでの顛末を緊張感たっぷりに描く。サンテ刑務所の同じ監房に収監されているロランら4人の囚人は、地下に穴を掘る脱獄計画を練っていた。そんな彼らのもとに、ガスパルという若い囚人が入ってくる。4人は迷った末に彼を仲間に入れることを決め、穴を掘り進めていくが……。実際に事件に関わった元囚人ジャン・ケロディがロラン役で出演。
1960年製作/132分/フランス 原題:Le Trou 配給:東和
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2020年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
カンコン、カンコン・・・こんなにでかい音を立てても平気なのか?などとも思いつつ、狭い通路を通り抜け脱走を試みる5人の囚人。床のコンクリートを叩き割り、地下通路まで到達してからもスリル満点。そして地下水路に向けてまた穴を掘りだす。こんなに単調な作業だけれども、なぜか引き込まれる。夜中の作業は二人ずつ交代で、チームワークも完璧。 何日もかかる作業がほんとに大変。「眠っておけ」などと仲間を励ますところもいいんだけど、つい眠くなってしまう場面もあった。そんな中で気に入ったのが、二人欠けた就寝時に人形を使って足を動かしたり、盗んできた薬瓶で砂時計を作ったりと、凝ってるところ。 さらにモノクロの中で噴き出す汗と落盤事故が強烈。『大脱走』の時に感じた息苦しさと同じだ。このまま彼らは脱走できるのか!?それとも・・・と、すべて実話だというから驚きだ。
穴掘りと同じように地道な映画。 しかし、観終わった後のショック、爽快感、そして感慨深さが印象的。 光と影を活かしたモノクロ映画ならではの ワンシーンワンシーンがかっこよくて堪らん。
THE 名作。 どんでん返しのストーリーが無くても、展開に緩急をつけるだけでここまでの衝撃を最後に生み出せるという、まさに職人芸の極致。 ルーティーン化して、緊張が解けて油断した所にいきなりぶっ込んでこられると、全くかわしようがないんだなあ。そして我々は120分の間、名匠ベッケルの掌で踊らされていたことに気付く。 このカウンターを受けてKOされた者は幸運である。
2016年3月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
『現金に手を出すな』を観た時も思ったんですけど、ジャック・ベッケルの画面ってなんでこんなに美しいんでしょう。特にアップで人物を撮った時の感じが、すごい好きなんですよね。『現金に』の時は、そうやってアップで撮られた時のジャン・ギャバンの存在感が、美しさとともに強く感じられたのが印象的だったんですけど、今回も同じような美しさを感じましたですね。 ザックザックと無限に続くかのような穴掘りには圧倒されましたし、こうした時に変に表情とか映さないところとか、あぁ、映画なんだなぁって感じましたですね。
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