ひと夏の情事

劇場公開日:

解説

サスペンス映画を専門に作っていた感のあるエドゥアール・モリナロが、一転して、南仏の別荘を舞台に、恋愛心理映画を手がけた。モーリス・クラヴェルの原作を、原作者とモリナロが脚色したもの。撮影はジャン・ブルゴワン。音楽はジョルジュ・ドルリュー。出演は「危険な曲り角」のパスカル・プティ、「パリの狐」のミシェル・オークレール、「賭はなされた」のミシュリーヌ・プレールのほか、ジョルジュ・プージュリー、クレール・モーリエ。イーストマンカラー・ディアリスコープ。

1960年製作/フランス・イタリア合作
原題または英題:Une Fille pour L'ete
配給:新外映
劇場公開日:1960年4月16日

ストーリー

沖から一人の男が泳ぎついた。〈彼女は行っちまった〉どこへ?男の回想が始まる。--彼は画家のフィリップ(ミシェル・オークレール)だ。画商の女房ヴィヴィアン(クレール・モーリエ)と暮していたが、あきた。自分の絵にも。夏、招かれた友人の未亡人ポール(ミシュリーヌ・プレール)の別荘へ一人で行く途中、気まぐれで女の子をひろった。マネット(パスカル・プティ)である。ひと夏だけの相手。彼はその名前以外は知ろうとしなかった。ポールもなにも言わなかった。三人は豪奢な別荘でただ夏を遊んだ。--ポールの若い息子ミシェル(ジョルジュ・プージュリー)が帰ってきた。彼は母の生活をきらい、考古学の発掘に従事していたのだ。年頃の同じマネットとすぐ親しくなった。ミシェルの姉たちがやってきてからは、その愚劣な若者たちのグループから離れ、二人はいつも一緒にいた。フィリップの立場は微妙だった。ミシェルはいつかマネットを愛し始めていた。が、彼女の愛しているのはフィリップだった。フィリップの絵をパリの高名な画商が買うといってきた。--フィリップは喜んだが、それがヴィヴィアンの画策と知ると拒んで帰ってきた。ミシェルと一緒にいたマネットを見て、奇妙な感情にかられ、抱いた。ポールの誕生日の夜もそうだった。他の男と踊るマネットがいらだたしかった。フィリップはそれを自分の気まぐれと考えていた。--ヴィヴィアンが訪ねてき、追い返されたが、マネットをののしった。それに心を深く傷つけられ、マネットは発とうとした。というよりも、これ以上いると、ますますひと夏だけでは別れられなくなると思った。それほど愛していた。出発を一日延ばした翌日、マネットは彼を海に誘った。ヨットで沖へ出た。彼女ははしゃぎ、それが半狂乱に達した時、大波で舟は覆った。彼の呼び声もムダだった。--〈彼女は行っちまった〉フィリップはポールに話した。海の底へ。自殺ではないか。彼は今になってマネットへの愛を自覚していた。--ミシェルの顔に怒りの表情がはりついた。

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