別れの朝(1971)

劇場公開日:

解説

ドイツ青年将校に思いをよせるフランス娘の禁断の恋を描いた作品。製作はポール・カデアック、監督は「さすらいの青春」のジャン・ガブリエル・アルビコッコ、クリスティーヌ・ド・リボワールの小説「夜明け」をアルビコッコとピエール・カストが共同脚色、撮影はキント・アルビコッコ、音楽は「栗色のマッドレー」のフランシス・レイ、編集はジョルジュ・コルシが各々担当。出演は「ふたりだけの夜明け」のカトリーヌ・ジュールダン、「風の季節」のマチュー・カリエール、マドレーヌ・ロバンソン、ジャン・ヴィラール、クリスチャン・バルトース、ジャン・ジャック・リュスダールなど。

1971年製作/フランス
原題または英題:Le Petit Matin
配給:松竹映配
劇場公開日:1971年12月25日

あらすじ

フランス西南部ランド地方のナラに、今は零落したある一家が住んでいた。気位の高い祖母、妻に逃げられた無気力なその息子ポール(J・ビラール)、これまた結婚に失敗し、後家暮らしの冷酷な性格の妹エバ(M・ロバンソン)。そしてポールには美貌の一人娘ニナ(C・ジュールダン)、エバには美青年ジャン(C・バルトース)という子供がいた。ニナはジャンに惹かれ、ジャンは学友バンサン(J・J・リュスダール)への男同志の愛を秘めていた。戦争が勃発し、ナラも占領されこの一家も、数室をあてがわれ家の大半はドイツ兵に奪われてしまった。混乱した一家を見捨てたジャンはバンサンのもとへ走り、ニナは傷心を、唯一の友の美しい白馬との戯れでいやしていた。ところがその白馬をわがもの顔で乗りまわす、ドイツ兵の若い士官カール(M・カリエール)に、ニナの心は憎しみから愛への微妙な感情移相を示すようになった。ニナは意を決してジャンをバンサン邸に訪ねた。しかしジャンはニナに何の感情を示さないばかりか、バンサンとの幸福な生活に浸りきっていることを、ことさら示した。絶望したニナはナラへ戻った。ニナはジャンの面影を消そうと自らカールの腕に身を委ねた。カールの愛情はニナを夢中にさせた。しかし突然カールはロシア戦線にかり出された。やがて戦火はナラにも及び、ジャンとバンサンが殺害されたという噂にエバは半狂乱となってしまった。そうした中、カールは脱走兵として、戦争の狂気によてすっかりぬけがらとなった身をあらわした。自分を射ってくれというカールに拳銃を向けたニナだがついに引き金を引くことは出来ず、早朝の砂浜でカールは自ら命を絶った。

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映画レビュー

4.5月光 と 白馬

2025年5月1日
Androidアプリから投稿

フランス南西部ランド地方の
没落しつつある家族を中心に描かれる占領時代の物語

森、海岸松、大西洋に面する砂丘、動植物などの
自然がたっぷり描かれるが
ドイツ軍が屋敷を占拠し物資を徴発してしまう映像に心がざわざわする
音楽もプロパガンダのひとつに…

この時代、この地域もだいぶ破壊されたようだが
途中はさまれる予知夢のような映像や結末からも
自然や土地にも報復されるドイツ軍みたいなものを連想した

棺桶セレモニーみたいなのもあった

ニナとの馬をはさんだ交流や関係から
将校の冷たさ、迷いなさがほどけ人間性を取り戻していくが
戦時下では破滅につながる
愛が懐柔になってたりして

耽美的な映像だけど苦い

月と白馬はギリシア神話では女神と関連付けられる
セレネSelene、アルテミスArtemis
またフランスにはケルト神話の痕跡もあって
そこにはリアノンRhiannonという女神もいた
白い牝馬に乗り死者の魂を死後の世界に導くらしい

原作をちょっと読んでみたいとも思わせる映画でした

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jarinkochie