ローズ・マリイ(1936)
解説
「浮かれ姫君」と同じくジャネット・マクドナルドとネルソン・エディが主演する音楽映画で、同じくW・S・ヴァン・ダイク監督、ウィリアム・ダニエルス撮影に成るもの。原作はオットー・ハーバーバックとオスカー・ハマーシタイン第二世共作、ルドルフ・フリムル作曲の同名のオペレッタで、「影無き男(1934)」のフランセス・グッドリッチ及びアルバート・ハケット二人組が更にアリス・デュアー・ミラーと協力して脚色したもの。なおオペラ・シーンはウィリアム・フォン・ウイメタルが演出したもの。助演者は「舗道の殺人」のジェイムス・ステュアート、「アンナ・カレニナ」のレジナルド・オーウェン、「オペラは踊る」のアラン・ジョーンズ、「奇傑パンチョ」のジョージ・リガス、ロバート・グリーグ、ユーナ・オコナー、ギルダ・グレイ、アラン・モウブリーその他である。
1936年製作/アメリカ
原題または英題:Rose Marie
ストーリー
カナダ巡業中のオペラのプリマ・ドンナ、マリイ・フロウは至る所絶賛の声に包まれてモントリオールの街に着いた。この街で彼女はカナダ首相に近づいたがそれには訳があった。マリイの唯一の肉親である弟のジョン・フラワーが強盗罪で刑務所に入れられているので、彼女は首相の力を借りて弟を釈放して貰おうと思ったのである。そこへインディアンのハーフのポニー・フェイスが彼女を訪れ、ジョンが脱獄して騎馬警官を殺した上、北部の森林地帯に逃走した事を告げた。彼女は総てを破棄して弟を救う決心で、ポニーフェイスを案内人として遠く北の旅に出発した。途中の街まで来た時、ポニーフェイスはマリイの旅費を奪って逃走した。途方に暮れた彼女はあるダンス・ホールで歌を歌って旅費を稼ごうとしたが、片田舎の人たちには彼女のむつかしい歌は少しも喜ばれなかった。しかしその中で唯一人彼女の歌を感心した男がいた。それは騎馬警官隊のブルース警部で、二人は道連れとなって共に北部へ向かった。所がはからずもブルースはジョンの逮捕を命じられて森林地帯へ赴く途中だったのである。マリイはあくまで自分がジョンの姉である事を隠し、二人は次第に深く恋しあうようになった。しかし彗眼のジョンは早くも彼女の身上を悟ってしまった。彼は職務の前に自分の恋を振り切って途中マリイと別れると、密かに彼女の後つけてジョンの隠れ家を突き止め、遂にジョンを逮捕した。弟の敵と知ってマリイは憤然とブルースを振り捨て、都会に帰って再び舞台に登ったが、失意の彼女にはもう昔の技巧も熱も失われていた。ある夜トスカを上演中、マリイはとうとう舞台で卒倒した。弟と恋人を失った彼女には、もはや回復の望みもないように見えたが、親切なマネージャーのマイヤーソンはマリイの心を察してブルースをよびよせた。淋しく田舎で病後の身を養っているマリイの耳に、ある日懐かしい恋人ブルースの歌声がこだまして聞こえて来た。二人の恋が再び結ばれたのは言うまでもない。