黄金

ALLTIME BEST

解説・あらすじ

 メキシコの町に流れてきたドブスとその相棒カーティンは老人ハワードと出会う。彼らは黄金探しの夢を追って、旅に出ることに。シェラ・マドレ山で砂金を見つけたものの、猜疑心のとりことなったドブスは独り占めを企み……。三人の男たちの旅を通じて人間の欲望を描き出す。ジョン・ヒューストン監督の実父ウォルターが好演し、アカデミー助演男優賞を受賞。

1948年製作/121分/アメリカ
原題または英題:The Treasure of the Sierra Madre

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1

写真:Everett Collection/アフロ

映画レビュー

4.0やり切ったことで得られた境地

2025年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 金鉱採掘はきつくてリスクも高いが、上手くいくとギャンブルやゲームのように夢中になるものなのだろう。だが、金鉱採掘を通じて、欲望に取り憑かれた人間の醜さを目の当たりにしたり、人と人との絆を経験したりする。手垢のついた表現だが、その経験を通じて金よりも大切なことに気づくことができた。人生に納得感をもたらすのは金では無いと。それは想像だけでは達し得ない境地だと思う。欲望に突き動かされて実際に金鉱採掘をやり切ったことで得られた境地だと言える。

 やってみて腹の底から分かることがある。これは金鉱採掘に限らず、あらゆる分野において言える。ウォルター・ヒューストン演じる老人のハワードが「若かったら自分も(仲間を裏切って金を盗むことを)やっていた」と言っていたが、彼もまた散々金鉱採掘を経験してそういう境地に達したのだと思う。

 ストーリーはスリリングで所々笑えるシーンもあり、面白い映画だった。特に、連れの比較的若い二人が金鉱へ向かう途中疲れ果ててぐったりしている中、老人のハワードが元気に豆を食べて喧しくハーモニカを吹くシーンが一番笑った。老人なのに元気過ぎる。また、後味の悪い映画なのかと思ったらそうではなく、気持ちの良い映画だった。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
根岸 圭一

4.0白黒映画です

2024年11月17日
PCから投稿

面白かったです
前半の長めの伏線がしっかりしているのが 中盤から利いてきますね。 そして ハングリーボガードの名演 というか 怪演というか!こういう役をしっかりやるところがカッコいいですよね。 主人公をこういう風に扱ってこういう風に物語が展開・・・ あまりうまくいきそうにない アイディアですがうまく決まってました。そして 見終わった時にはいい映画だったな という印象が残る。 個人的にはよく似た構成の 恐怖の報酬 よりこっちの方が好きですね。女っけゼロですが

コメントする (0件)
共感した! 0件)
タンバラライ

3.5Easy come, easy go.

2024年7月1日
iPhoneアプリから投稿

興奮

知的

昔の映画の分、技術的描写ひとつひとつのリアリティは現代と見劣りはしますが、物語の普遍性は保たれておりむしろ舞台調の演出がメッセージ性を更に強調してくれてる印象でした。
最初はそこまで腰据えて鑑賞する気は無かったのですが、やはり良いものは良いんでしょうね。最後まで釘付けでした。
個人的に、ハンフリーボガートがこんな汚れ役をするとは思ってなかったのでそこもいい意味で期待を裏切ってくれました。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
吠えない狼

4.0昔の人も怒っていたのだろうか

2023年11月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

古い名作映画などは物語の核心が動き出すまでが長い。気持ちが焦っている現代人の感覚からすると、無駄なシーンだ、とか、尺稼ぎだ、とか、見当違いの批判が出そうなゆっくり加減である。
実際はもちろん無駄でも尺稼ぎでもなく、一つ一つ必要な場面を丁寧に積み重ねているだけなのだが。
現代人の感覚に合わせた最近の映画だと、この積み重ねがないからどうにも薄っぺらくなって駄目だ。その点「黄金」はイイ。

さて内容についてだが、まず最初に注目すべきは、自分が考えていることは他人が考えていることと同じだと思い込む罠だろう。自分がつまらない映画は他人もつまらないはずだ、という感覚。本作の中では黄金をめぐる思惑がそれにあたり、疑心暗鬼を生んでドラマを形成していく。
ドブズはこの罠にドップリと浸かりこんでいくが、彼が本来持っていたであろう性質と器の小ささが相まって、哀愁が漂うほどに悲劇とも喜劇とも言えないような、全くバカだねぇと漏らしたくなるラストを迎えことになる。

次の注目ポイントはやはりエンディングだろう。
高評価の映画を観てつまらなかったときに怒りのレビューを書き込む人をたまに見るが、彼らは一体何に怒っているのだろうね?
怒りや憎しみは良い結果を生まないし、怒りや憎しみの反対が何なのかわからないけど、少なくとも笑いは前向きな気持ちを生み出すと「黄金」は教えてくれた。

現代でも通じるテーマを持った古い名作は多いが、逆に現代だからこそ刺さるこの「黄金」はなかなか貴重なのではないだろうか。
肝心の怒れる若者は本作など観ないだろうけどさ。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
つとみ

他のユーザーは「黄金」以外にこんな作品をCheck-inしています。