「自然界の動物が牙を剥く時はいつだって唐突」鳥 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
自然界の動物が牙を剥く時はいつだって唐突
アルフレッド・ヒッチコックの1963年の作品。代表作の一つで、動物パニック映画の元祖。
ストーリーは単純、鳥が人を襲う。
前半は人間ドラマ?大人の恋愛ドラマ?…と思うほど淡々と進む。後半との対比がユニーク。
ちょいちょい鳥の存在を印象付け、不穏な雰囲気を煽る。特に、振り向いたらジャングルジムにカラスの大群は、結構恐ろしい。数羽の群れでその辺のゴミ捨て場を漁ってるだけでもいい気分しないというのに…。
そして後半は、何の前触れも無く、何の理由も無しに襲いかかる。
この何の理由も無しというのがゾクッとさせる。
自然界の動物が人間に牙を剥く時はいつだって唐突。理由なんて無いのが現実だ。
鳥に襲われる恐怖と、精神的に追い詰められていく脆さ。
スティーヴン・キング×フランク・ダラボンの「ミスト」は本作の影響を強く受けているのが分かる。
タイトルはたったの1ワード。
ヒッチコックは「タイトルは映画の顔。タイトルを見ただけで映画が分からないといけない」と語っていたが、これほど分かり易いタイトルは無い。
“鳥”だけでもタイトルになる。
鳥嫌いのヒッチコックが贈る、本当は怖い“鳥”。
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