「原初的な恐怖を描くために駆使された最新テクノロジー」鳥 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
原初的な恐怖を描くために駆使された最新テクノロジー
ヒッチコックを語るときに欠かせないこの怪作。フィクションを扱った原作モノでありながら、しかしヒッチコックは実際に起こった鳥の大量発生や襲撃事件を周到に調べ上げ、「現実に起こりうること」として内容を膨らませていったそうだ。
改めて鑑賞してハッと気づくのは、全編を通して全く音楽が存在しないこと。代わりにドイツで探し出した電子楽器を用いて鳥の鳴き声をサンプリング加工することで、これまでにない不気味な音響効果をもたらし、さらにこれを駆使した冒頭の鳴き声の連なりは、さながら不気味な現代音楽のようにも聴こえてくる。
また、当時の未成熟な特殊効果をどうすべきかという課題も彼らの頭を悩ませたが、結果的にディズニーが開発した特殊効果を採用することで、おびただしい数の鳥が画面に違和感なく溶け込む状態を創り出した。こうして未だに人々を震撼させ続けられるのは大したもの。見るたびに新たな発見が得られる一作だ。
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