透明人間(1933)
解説
H・G・ウェルズ作の科学小説を映画化したもので、「旅路の終り」の作者たるR・C・シェリフが脚色にあたり、「フランケンシュタイン(1931)」「魔の家(1932)」と同じくジェームズ・ホエールが監督、アーサー・エディソンが撮影にあたったものである。出演者は「魔の家(1932)」「大空の闘士」のグロリア・スチュアート、ニューヨークシアター・ギルドに在りしクロード・レインズ、を始め、「青春罪あり」「舗道」のウィリアム・ハリガン、「凡その人生」「嵐の国のテス(1932)」のダッドリー・ディグス、「大帝国行進曲」のユーナ・オコナー及びマール・トッテナム、「紅塵」ののフォーレスター・ハーヴェイ、ヘンリー・トラヴァースその他である。
1933年製作/アメリカ
原題または英題:The Invisible Man
ストーリー
青年化学者ジャック・グリフィンは、クレンリイ博士の下に同僚センプと共に研究に没頭した。クレンリイ博士の愛嬢フロラはグリフンを愛したが、ケンプは彼女をグリフィンから自分の手に入れようとし、とかく反目するのだった。しかるに突然グリフィンの姿は博士の研究室から消えた。一方、イギリスの小寒村イリングの村に吹雪の日現われた奇怪な紳士が合った。彼はその怪異な姿と乱暴な振る舞いで村人の噂の種となった。この振る舞いに腹を据えかねた旅館の主人は彼を追いだそうとして警官をやんだ。怒った怪紳士は突然自分の来ている衣服を脱ぎ始めた。頭に巻いた包帯をとれば、奇怪にも頭が見えなくなり、ショツ1枚となればシャツだけで肉体は見えない、何人の姿を見えぬ室から不気味な嘲笑の声・・・・村人の噂はそれからそれへとこの“透明人間”の話で持ちきっていた。実はこの透明人間こそ、化学者グリフィンの変身なのだった。彼は秘密の研究によって毒薬モノチンを服用して身を透明にし再び元の身となるべき復元の方法を求め、イリングの村へ研究にきたのだった。だが毒薬の服作用で彼の心はすさみ、殺人、列車椿事あらゆる暴行が続けられた。警察のあらゆる努力も、透明な人間に対してはなすところを知らなかった。グリフィンはケンプの家にきて彼を自分の助手にしようとしたが、ケンプのため当局へ密告された、透明人間のグリフィンは怒ってケンプを殺害する。しかるに幸か不幸か、そのころ降雪があった。寒さに追われて透明人間はとある百姓小屋へ隠れ家を求めた。いびきをきいた百姓は早速警察へ訴えた。四方を取り巻いて小屋に火が放たれた。透明人間は驚いて遁走したが点々として雪の上へ足跡がつく、警察はこれを目標に1発2発、遂に透明人間も最後に立到った。瀕死の床で彼は愛しいフロラに会った。“近寄ってはならぬものに手を染めて…”と嘆く透明人間は死と共に元のグリフィンの姿に返るのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジェームズ・ホエール
- 脚色
- R・C・シェリフ
- 原作
- H・G・ウェルズ
- 撮影
- アーサー・エディソン
- 美術
- チャールズ・ホール