じゃじゃ馬馴らし(1929)

解説

「コケット」のメアリー・ピックフォードと「鉄仮面」とダグラス・フェアバンクスとが共演する映画で、有名な沙翁劇「じゃじゃ馬馴らし」を映画化したもの。脚色及び監督は「コケット」「テムペスト(1928)」のサム・テイラーで、撮影は「心の歌」「コケット」のカール・ストラッスの担任である。助演俳優は「月光の曲」「肉体の叫び」のドロシー・ジョーダンをはじめ、「暁の偵察」のクライド・クック、「ストリート・ガール」のジョセフ・カウソーン、「西部戦線異状なし」のエドウィン・マクスウエル及びジェフリー・ウォードウェルという顔ぶれである。

1929年製作/アメリカ
原題または英題:Taming of the Shrew

ストーリー

昔むかしイタリアのパデュアにバプティスタという大金持ちがあった。彼には美しい娘が2人あった。妹娘のビアンカには大勢の花婿候補者があったが、姉のカザリンは希代の悍婦なのでその美貌と莫大な持参金にも係わらず彼女に求婚する男は1人もなかった。しかし父親のバプティスタは姉娘を嫁入りさせぬうちは妹にも結婚を許さないと言明した。ビアンカに惚れている金持ちのグレミオも若い貴公子のホルテンシオもこれには困り果てていると、ホルテンシオの友人でヴェロナの貴公子ペトルシオが従僕グルミオを伴って花嫁探しの漫遊旅行に出立してまずパデュアにやって来た。彼はホルテンシオから委細を聞くと、男の中の男たる自分にはそのカザリンこそ望む嫁だと、バプティスタの許しを得てカザリンと対面した。さすがのカザリンもペトルシオの勇気と勢力と快活な性格とには施す術なく、自分自身に憤りを感じながらも彼を愛し始める。そして次の日曜日に結婚式を挙げるも事もいやおうなく承知した。結婚の当日ペトルシオは故意に遅着し、しかも乞食の衣裳を着てやって来た。カザリンは怒りと恥とで逆上しかけたがペトルシオは構わず結婚式が済むと酒宴の席にもつかないで花嫁を抱いて、あっけにとられている来客を尻目に己が別邸に向かって雨中を走った。着くとと婿殿は濡れた着物に着替えも出してやらず、食事はでき損ないと称して食べさせない。かくて散々にカザリンを傷めつけると共に、一方では愛の言葉をささやいた。カザリンは寝室で初めてペトルシオが悍婦馴らしの芝居をしていることに気づいたので、打って変わって従順な態度をとった。悍婦馴らしを成就したと信じたペトルシオは数日後の結婚披露宴の席で、妻は夫に従うべきものと言明させた。カザリンは夫は神であり命であり主である、と言いながら来客中の女達にだけ素早く大きな目くばせをしたのである。

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